
AIを活用した図面の読み取りや検索、情報整理など、製造業でもAIを使える場面が増えています。最近では、ChatGPTなどの生成AIにPDFや画像をアップロードして、その内容について質問することも簡単にできるようになりました。
一方、製造図面には、製品の形状や寸法、材質、加工条件など、自社の競争力に直結する情報が記載されています。取引先から預かった図面であれば、自社だけでなく顧客の機密情報が含まれていることもあります。
では、こうした図面をAIに読み込ませても問題ないのでしょうか。
結論からいえば、 AIに図面を読み込ませること自体が一律に危険というわけではありません。 重要なのは、「どのAIサービスを使うのか」「入力したデータが何に利用されるのか」「どのようなセキュリティ対策が取られているのか」を確認し、会社が承認した環境で利用することです。
本記事では、ChatGPTなどの汎用型生成AIと、図面業務に特化したAI図面管理システムの違いを整理したうえで、図面をAIで扱う際のリスクと、安全に活用するための3つの原則を解説します。
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汎用型生成AIとAI図面管理システムの違い
AIを図面業務に活用する方法は、大きく分けると2つあります。
一つは、ChatGPTなど、さまざまな業務に利用できる「汎用型生成AI」を活用する方法です。
もう一つは、企業が保有する図面を蓄積し、AIによる読み取り・整理・検索などに活用する「AI図面管理システム」を導入する方法です。
それぞれ用途やデータの管理方法が異なるため、まずは違いを理解しておきましょう。
幅広い業務に利用できる汎用型生成AI

ChatGPTやGemini、Microsoft Copilotなどの生成AIサービスは、文章作成、要約、翻訳、情報整理、画像解析など、幅広い用途に利用できます。
製造業でも、例えば次のような業務に活用できます。
●仕様書やマニュアルの要約
●メールや報告書の作成
●技術情報の整理
●アイデアや改善案の検討
●図面や画像をアップロードして内容について質問する
一つのサービスをさまざまな業務に使えることが、汎用型生成AIの大きなメリットです。
ただし、入力した文章・画像・ファイルなどがどのように取り扱われるかは、サービスや契約プラン、アカウント種別、設定によって異なります。
例えば、同じ生成AIサービスでも、個人向けの利用環境と法人向けの利用環境では、入力データをAIモデルの改善に利用するかどうかなどの条件が異なる場合があります。
そのため、「有名なAIだから安全」「有料プランだから問題ない」と判断するのではなく、実際のデータ利用条件を確認することが重要です。
図面を企業の資産として活用するAI図面管理システム

AI図面管理システムは、企業が保有する図面や関連資料を一元管理し、AIを使って必要な図面を探したり、図面に記載された情報を整理したりするための業務システムです。
ChatGPTなどの生成AIにその都度図面をアップロードして質問する使い方とは異なり、社内に蓄積された大量の図面を「企業の情報資産」として整理し、日常業務で継続的に活用することを目的としています。
製品によって機能は異なりますが、例えば次のような機能があります。
●図番、部品名、材質、寸法などの情報をAI・OCRで読み取る
●紙やPDFの図面をデータ化して一元管理する
●形状や寸法、材質などから類似する過去図面を探す
●図面と見積書、仕様書、検査成績書などを関連付けて管理する
●図面の版や変更履歴を管理する
例えば新しい見積依頼を受けた際に、過去の類似図面や見積書をすぐに探せれば、見積作成時間の短縮や過去案件のノウハウ活用につながります。
汎用型生成AIとAI図面管理システムの違いを整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 汎用型生成AI | AI図面管理システム |
| 主な用途 | 文章作成、要約、情報整理、画像解析など | 図面の読み取り、検索、整理、一元管理など |
| 図面の使い方 | 必要な図面をその都度入力して質問・解析する | 社内の図面を蓄積し、継続的に検索・活用する |
| 図面情報の整理 | AIへの指示に応じて内容を解析する | 図番・材質・寸法などを項目として整理できる製品がある |
| 類似図面検索 | サービスや使い方によって異なる | 形状や属性などから類似図面を検索できる製品がある |
| 関連資料の管理 | ファイル単位で扱うことが多い | 図面と見積書・仕様書などを関連付けられる製品がある |
| 組織管理 | サービス・プランによって異なる | 権限設定や操作履歴など、組織利用向け機能を備える製品がある |
ただし、「AI図面管理システムだから安全」というわけではありません。
どのようなAIを利用しているのか、アップロードした図面が何に利用されるのか、誰がアクセスできるのかなど、製品ごとのセキュリティ対策を確認する必要があります。
図面をAIに読み込ませる際のリスク
AIを使えば図面業務を効率化できる一方、図面データの取り扱いには注意が必要です。
特に確認しておきたいのが、「入力した図面がどのように利用・保存されるのか」と「取引先から預かった図面をどのように扱うのか」です。
入力した図面がどのように利用されるか

AIサービスに情報を入力したからといって、必ずAIモデルの学習に使われるわけではありません。
一方で、サービスや契約内容、設定によっては、入力した文章や画像、ファイルなどがAIモデルの改善やサービス品質向上などに利用される場合があります。
そのため、「AI学習に使われるか」だけではなく、次のような点を確認することが重要です。
●AIモデルの学習や改善に利用されるか
●サービス改善や品質向上など、他の目的に利用されるか
●入力したデータがどこに保存されるか
●どのくらいの期間保存されるか
●第三者や外部サービスにデータが送信されるか
●契約終了後にデータが削除されるか
特に注意したいのは、「AIモデルの学習に利用されない」ことと「データが一切保存・利用されない」ことは同じではないという点です。
AI学習に使用しないサービスでも、サービス提供や不正利用対策などのため、一定期間データを保存する場合があります。
そのため、図面を入力する前に、利用規約やプライバシーポリシーだけでなく、法人向けのセキュリティ資料やデータ取り扱い方針まで確認することが重要です。
取引先図面をAIで扱うリスク

取引先から預かった図面には、製品情報や設計情報、製造条件など、取引先にとって重要な技術情報が含まれている場合があります。
こうした図面を会社の許可なくAIサービスへ入力すると、秘密保持契約や取引先との契約、自社の情報セキュリティ規定などに抵触する可能性があります。
特に注意したいのが、従業員が個人アカウントや会社で承認されていない生成AIサービスを業務利用する、いわゆる「シャドーAI」です。
会社が利用状況を把握できない環境では、次のような問題が発生します。
●誰がどの図面を入力したのか把握できない
●どのAIサービスに情報を入力したのか追跡できない
●利用しているサービスのデータ利用条件を会社が確認できない
●退職者や異動者のアカウントを管理できない
●問題発生時に操作履歴を確認できない
取引先図面をAIで扱うのであれば、従業員個人の判断に任せるのではなく、会社として利用するサービスを選定し、「どの情報を入力してよいのか」「誰が利用できるのか」といったルールを決めておく必要があります。
AI図面管理システムを選ぶ難しさ
画面だけでは安全性を判断しにくい

AI図面管理システムを比較するとき、検索機能や読み取り精度、料金などは比較的確認しやすい項目です。
一方、入力した図面がどのように処理されるのか、どこに保存されるのか、どのようなセキュリティ対策が行われているのかは、サービスの画面を見ただけでは分かりません。
| 確認しやすい項目 | 確認が必要なセキュリティ項目 |
| 対応するファイル形式 | 入力データの利用目的 |
| 図面の読み取り精度 | AIモデルの学習への利用有無 |
| 検索方法 | データの保存方法・保存期間 |
| 料金や契約期間 | 認証・アクセス制御 |
| 操作性 | 利用者ごとの権限設定 |
| 操作履歴の記録 | |
| 契約終了後のデータ削除 |
また、「高いセキュリティ」「安全なクラウド」と書かれているだけでは、具体的にどのような対策が行われているのか判断できません。
AI図面管理システムを選ぶ際には、機能だけでなく、「自社の図面がどこで、どのように扱われ、誰がアクセスできるのか」まで確認することが重要です。
ここからは、図面をAIで安全に活用するために押さえておきたい3つの原則を紹介します。
安全にAIを活用するための3原則
1.入力データの利用目的を確認する

1つ目は、入力した図面が「何に利用されるのか」を確認することです。
利用規約、プライバシーポリシー、セキュリティ資料などで、少なくとも次の項目を確認しましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 |
| AI学習 | 入力した図面がAIモデルの学習・改善に利用されるか |
| 利用目的 | サービス提供以外の目的で利用されるか |
| 外部提供 | 外部のAIや第三者サービスへ送信されるか |
| 保存期間 | データがいつまで保存されるか |
| 契約終了後 | 解約後にデータがどのように削除されるか |
規約や資料を確認しても分からない場合は、提供会社へ直接確認するのも一つの方法です。
例えば、
●アップロードした図面・文書は、AIモデルの学習や改善に利用されますか?
●図面データは、サービス提供以外にどのような目的で利用されますか?
●外部のAIサービスへデータが送信される場合、そのデータはどのように取り扱われますか?
●契約終了後、登録した図面データは削除されますか?
などを確認するとよいでしょう。
2.データを守るセキュリティ対策を確認する

2つ目は、保存された図面を不正アクセスや情報漏えいから守る仕組みがあるか確認することです。
図面のような機密情報を扱う場合は、例えば次のような項目が確認材料になります。
| 対策 | 内容 |
| SSO | 社内のアカウント基盤と連携して利用者を管理する |
| 2要素認証 | パスワード以外の認証を追加して不正ログインを防ぐ |
| IPアドレス制限 | 許可された拠点やネットワークからのアクセスに限定する |
| 通信・データの暗号化 | 通信中・保存中のデータを保護する |
| アカウント管理 | 退職・異動時に利用停止や権限変更を行えるようにする |
| セキュリティ管理体制 | ISO/IEC 27001など、第三者認証や組織的な管理体制を確認する |
ISO/IEC 27001などの認証・適合状況は、提供会社が情報セキュリティを組織的に管理しているかを判断する一つの材料になります。
ただし、認証を取得しているだけで、すべてのリスクがなくなるわけではありません。
認証方式、アクセス制御、暗号化、権限管理など、実際にどのような仕組みで図面を保護しているのかまで確認することが重要です。
3.権限管理・操作履歴と社内ルールを確認する

3つ目は、「誰が何をできるのか」を管理することです。
会社で保管しているすべての図面を、すべての従業員が自由に閲覧・ダウンロードできる状態は望ましくありません。
部署や役割に応じて、
●図面を閲覧できる人
●図面を登録・編集できる人
●図面をダウンロードできる人
●他の利用者の権限を変更できる管理者
などを設定できることが重要です。
また、誰が、いつ、どの図面を閲覧・編集・ダウンロードしたのか確認できる操作履歴も、安全な運用を支える重要な機能です。
操作履歴が残っていれば、不審なアクセスや情報の持ち出しが発生した際にも、状況を確認しやすくなります。
ただし、システムに機能があるだけでは十分ではありません。
「どの図面を登録してよいのか」「誰にどこまで権限を与えるのか」「退職・異動時にいつ権限を変更するのか」など、社内の運用ルールとあわせて整備することが重要です。
安全なAI図面活用を支える「ジーエン図面」
こうしたセキュリティ上の課題に対応しながら、AIによる図面活用を進める選択肢の一つが、営業製作所が提供する図面管理システム「ジーエン図面」です。
ジーエン図面は、製造業の図面や関連資料をAIで読み取り、整理・検索できるほか、機密性の高い図面を管理するためのセキュリティ機能も備えています。
外部AIの学習には利用されない

ジーエン図面にアップロードされた図面・文書データが、外部AIの学習データとして利用されることはありません。
AIを活用したサービスを選ぶ際は、「AIを使っているか」だけでなく、自社が入力したデータがAI学習に利用されるのかを分けて確認することが重要です。
ただし、AI学習に利用されないことだけで、図面管理の安全性がすべて確保されるわけではありません。
不正アクセス対策や権限管理、操作履歴の記録などを含めて、総合的に確認する必要があります。
多層的なセキュリティ対策

ジーエン図面は、情報セキュリティの国際標準規格であるISO/IEC 27001に対応しています。
さらに、利用者の認証やアクセス経路、閲覧範囲を管理するため、次のようなセキュリティ機能・対策に対応しています。
| セキュリティ対策 | 内容 |
| ISO/IEC 27001への対応 | 情報セキュリティを組織的に管理 |
| SSO | 社内のアカウント基盤と連携してログインを管理 |
| 2要素認証 | ID・パスワードが漏えいした場合の不正アクセスを抑止 |
| IPアドレス制限 | 許可されたネットワークからのみアクセス可能 |
| アクセス権限設定 | 部門・役割ごとに閲覧・編集・ダウンロード権限を設定 |
| 操作履歴の記録 | 利用者の操作を記録し、不審な利用の確認を支援 |
利用者ごとに必要な情報だけを共有できるため、図面を一元管理しながら、社内での不正閲覧や情報持ち出しのリスクを抑えられます。
詳しい対策は、ジーエン図面のセキュリティページで確認できます。
図面活用から運用定着まで支援

ジーエン図面は、図面を保管するだけでなく、蓄積された図面や関連資料を業務で活用するための機能を備えています。
| 主な機能 | できること |
| AI図面解析 | 図番、部品名、材質、加工条件などを自動で読み取る |
| AI OCR | 手書き文字や形式の異なる図面・書類をデータ化する |
| 超類似図面検索 | 形状、寸法、材質などをもとに類似図面を検索する |
| 関連データの自動紐付け | 図面と見積書、仕様書、CADデータなどを関連付ける |
| 図面差分表示 | 図面を重ね合わせ、変更箇所を分かりやすく表示する |
| スマート版管理 | 同じ図番の図面を整理し、最新版を確認しやすくする |
実際の導入企業では、次のような成果が出ています。
●過去5年分・約15,000枚の図面を活用し、見積作成時間を5~10分に短縮
●40年分の紙図面を整理し、紙の保管量を70%削減
●最大2~3時間かかっていた過去図面の探索を短縮
機能や導入事例の詳細は、ジーエン図面の機能一覧で確認できます。
また、製造業専門のコンサルタントが、現状の課題整理や既存データの移行、初期設定、運用方法の設計まで支援します。導入後も利用状況を確認しながら、現場への定着をサポートします。
まずは自社の図面を使って、読み取り精度や検索性、操作性を確認することが重要です。
まとめ
図面には、自社や取引先の重要な技術情報が含まれています。
製造業がAIを安全に活用するために押さえておきたい3つの原則は、次のとおりです。
- 入力データの利用目的を確認する
- 不正アクセス対策を確認する
- 権限管理・操作履歴の機能を確認する
AI図面管理システムを選ぶ際も、検索精度や操作性だけでなく、AI学習への利用の有無、認証機能、アクセス制限、権限管理などを確認しましょう。
ジーエン図面は、AIによる図面解析や類似図面検索と、図面を組織で安全に管理するためのセキュリティ機能を備えています。
機密情報を守りながら図面を有効活用したい企業は、自社の図面を使った無料体験から検討してみてはいかがでしょうか。
