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「既存の大口取引先に売上を依存してしまっている。」
「技術力はあるものの、その技術を必要としている会社が見つけられない」
このようなお悩みを抱えている製造業経営者の方は少なくありません。
本記事では、製造業を営んでいる方におすすめしたい最新の営業・マーケティング手法を12個ご紹介するとともに、新規開拓の課題や重要性についても解説していきます。
既に知っている手法もあるとは思いますが、「こんなやり方もあったんだ!」と必ずお役に立てる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
営業製作所では、製造業に特化した独自のマッチングサービス「Eigyo Engine」を使い、貴社の技術が活かせる企業を全国からリサーチ・お引き合わせしています。
月額パート1名分の金額で、年間5,000万円以上の売上を創出した事例もございますので、少しでも気になった方はぜひこちらからお問合せくださいませ。
製造業の営業・マーケティング手法「待ち(プル)」型
「待ち(プル)型」は、能動的に問い合わせてくる顧客に対して提案をする営業・マーケティング手法です。
自社のことをある程度調べた上で問い合わせに至るため、課題が顕在化しており、受注につながりやすいのがメリットです。
1.ネット広告
ネット広告と聞くと難しいイメージがありますが、Webサイト閲覧時に表示されるバナー広告や、YouTube視聴中に流れる動画広告もネット広告に含まれます。
数万円から始めることができる上、「何人に広告を見てもらえたのか」「広告経由で何人が資料請求してきたのか」といった数値を算出できる点がメリットです。
また、年齢や地域、興味関心から絞って(ターゲティング)広告配信できるため、広告予算の無駄を最小化できます。
デメリットとして、広告を出す限り費用がかかり続ける点や、広告管理画面に慣れるまで時間がかかる点が挙げられます。
特に検索広告(リスティング広告)に関しては、オークション式の課金形態となっており、人気の検索キーワードは費用が高くなりやすいです。
広告代理店に広告運用をお任せするケースも多々ありますが、運用手数料が広告予算の20〜25%かかってくる点に注意しましょう。
2.チラシ広告
チラシ広告は、チラシを作って、特定の地域の個人宅・事業所のポストに投函する広告です。
柔軟にデザインできる上、紙の質やチラシの形にこだわることで、より記憶に残りやすくなります。
ネット広告のように効果測定が難しい点やチラシの制作・印刷に費用がかかる点がデメリットです。
3.セミナー
セミナーは、参加者を募り、プレゼンテーションのような形式で実施します。
一度に複数人に対して情報提供できるため、営業効率が良い点がメリットです。
受講者側は、1対1の営業と比べて、「売りつけられるかもしれない」という不安もなく、気軽に参加できます。
例えば、工作機械・中古機械の販売や金属加工事業を展開する株式会社サン工機様では、以下のような製造業社向けのセミナーを開催しています。
セミナー後に、参加者とコミュニケーションを取ることで、すぐの受注に至らなくとも、新しい関係性が構築できる点もメリットです。
一方、セミナーの企画やプレゼン資料の作成、集客、セミナー会場の確保など準備に膨大な工数がかかる点がデメリットです。
「集客ができるか不安」「会場の選び方がわからない」という方は、共催セミナーという形で他社と協力し、オンラインで開催するのも良いでしょう。
4.新聞広告
新聞広告はその名の通り、新聞の紙面に広告を掲載する営業手法です。
新聞通信調査会によると、60代以上の約8割が新聞を購読していることが分かります。
製造業の経営者の年齢層平均は60.9歳とされているため、決済者層に広告を届けられる可能性は高いです。
参考:社長平均年齢は過去最高の 60.1 歳 |帝国データバンク
新聞広告の費用はどの地方紙に載せるかによって変動します。
例えば、和歌山県の地方紙「紀伊民報」の場合、記事下広告がモノクロで43,000〜、フルカラーだと11,8000〜掲載できます。
朝日新聞など全国紙になってくると、掲載場所次第で最低40〜1,000万円以上かかります。
各新聞紙の広告費用はこちらのサイト(新聞広告ナビ)にて確認可能です。
5.展示会
展示会に出店し、来場者に向けて営業する手法です。
展示会ごとにテーマが決まっているかつ、展示会には業界関係者しか参加しないため、優良な見込み顧客と会話できます。
直近ですと、以下の展示会が出展企業を募集しています。
自社にあった展示会を探して、チェックしておきましょう。
第38回ネプコンジャパン エレクトロニクス開発・実装展
※東京ビッグサイト/2024年1月24日(水)~26日(金)
https://www.nepconjapan.jp/tokyo/ja-jp.html
JECA FAIR 2024 ~第72回電設工業展~
※東京ビッグサイト/2024年5月29日(水)~31日(金)
ものづくり ワールド
※東京ビッグサイト/2024年6月19日(水)~21日(金)
https://www.manufacturing-world.jp/tokyo/ja-jp.html
展示会は、見込み顧客に実際に対面できる点がメリットですが、出展費用が100万円以上かかる点や出展準備に時間を要する点がデメリットです。
6.紹介
既存の顧客や知り合いから取引先を紹介してもらう営業手法です。
「信頼できる◯◯さんの紹介なら」と、初めから安心感があるため、相手も聞く姿勢になっており、受注につながりやすい点がメリットです。
紹介だからという理由で安い金額で依頼されたり、一度信頼を損ねると次の紹介に繋がらなかったりといったリスクも理解しておきましょう。
製造業の営業・マーケティング手法「攻め(プッシュ)」型
「攻め(プッシュ)」型とは、見込み顧客からの問い合わせを待たずに、自社から積極的に提案しにいくスタイルの営業です。
自社側がコントロールできる要素が多く、行動量次第で大きな成果につなげることも可能です。
1.飛び込み営業
文字通り、アポなしで企業受付に飛び込み、見込み顧客を開拓する営業手法です。
不動産や人材、保険、証券会社の営業に取り入れられるケースが多く、ほとんどの場合断られます。
各営業マンの行動量次第で、電話営業やメールでは辿り着けない決済者層に出会える可能性がある一方、クレームや会社出禁になるリスクもあります。
営業マンのメンタルが問われる昔ながらで泥臭い営業手法です。
2.手紙
「今この時代に手紙?」と思われる方もいるかもしれませんが、デジタルが発展している今だからこそ手紙営業が再注目されています。
手紙の工夫次第では、メールよりも開封率は高まります。
たとえ営業の文面であっても、綺麗な封筒に入れられ、手書きで書かれていると、「自社のためにこんなに時間やお金を割いてくれたのか」と嬉しいものですよね。
手間がかかるというデメリットはありますが、物理的にモノが残るため、決済者に認知してもらえる可能性も高いでしょう。
3.問い合わせフォーム営業
問い合わせフォーム営業とは、企業HPのお問い合わせフォームに営業文面を送る営業手法です。
ほとんどの企業HPには、「お問い合わせ」欄があります。会社名や件名、用件を入力する場所があり、そこに提案文面を入力します。
全く取引のない企業の場合、担当者のメールアドレスを取得するのは至難の業です。
問い合わせフォームの場合、担当者をピンポイントに指名することは出来ませんが、その企業のどなたかに見てもらえます。
上記のようなメリットがある一方、返信がある確率はかなり低い上、「問い合わせフォームから営業しないでください」とクレームにつながる恐れもあります。
4.電話営業
電話営業とは、企業の代表電話宛に電話をかけ、直接営業する手法です。
電話のみで成約を目指すのではなく、いったんアポイント(提案をする約束)を取り付けて、後日30分〜1時間の商談でクロージング(成約)します。
断られるケースが大半ですが、下記3要素次第で、電話営業の成功確率をグッと上げられます。
・電話をかける数
・トークの質(原稿、声色、話し方など含め)
・電話をかける時間帯
営業先リストと電話さえあればすぐにでもスタートできる一方、電話営業を嫌う企業も一定数おり、強い対応をされる場合も多々あります。
断られることに慣れていない社員はストレスを感じるでしょう。
電話営業に初めて取り組む場合は、まずはアポイント(提案をする約束)の獲得数を目標値に置くのではなく、電話をかけた数を目標に置き、慣れさせるところからスタートするのがおすすめです。
▼弊社でも電話営業を取り入れております。
5.メール営業
メール営業は、文字通りメールを介して営業する手法です。
「提案したい企業の担当者のメールアドレスを知らない」という場合は、その会社のinfoメール宛に送るか、LinkedinなどのビジネスSNS上から探す、もしくは名前を知っていればメールアドレスを推測する、といった方法で解決できます。
また、過去に一度提案したが受注に至らなかった顧客がいる場合は、その担当者の方に再度メールを送ってみるのも良いでしょう。
メール営業では、「メールの開封率」と「メールを読んでもらった後の反応率」を攻略すると成功確率が高まります。
メールの開封率は、メールの件名やメールのアイコンが左右します。
例)「●●地域への事業拡大に伴う打ち合わせのご依頼(株式会社●●)」
メールの反応率は、メールの文面次第です。
日程調整用に、いくつか日程候補をあらかじめ送ったり、自社の技術や製造事例がわかる資料を添付したりと、「どうすればメールを受け取った側の返信ハードルを下げられるのか。返信しづらい理由はなにか」を考えた工夫をしてみましょう。
6.郵送物
最後に、チラシや広告などの郵送物を先方に送る営業手法です。
手紙同様、物理的に手元に郵送物が残るため、何度も目に触れるうちに興味をもってもらえるかもしれません。
とはいえ、自宅の郵便受けに届く不要なチラシを思い出してみてください。
「これは自分には関係ないな」と捨てた経験ありますよね。
同様に、せっかく費用をかけて作ったチラシでも、一見しただけで捨てられるデメリットはあります。
どんな郵送物だったら捨てずに読んでみようと思うのか、実際に自社に届いている郵送物から分析してみてください。
製造業の営業・マーケティングは難しい(課題)
「良いモノを作れば売れる」は理想的ですが、現実的ではありません。
なぜなら、「良いモノを作れる」と「売れる」の間には、次のようなプロセスが必要になるからです。
1.良いモノを作る
2.良いモノ、もしくはその技術を見込み顧客に知ってもらう
3.見込み顧客が興味を持つ
4.見込み顧客が他社と検討する
5.発注に至る(売れる)
「1.良いモノを作る」が得意な企業は多くいますが、2番以降で躓くケースが多いのではないでしょうか。
その理由について解説します。
製造業に明るい営業人材の確保
規模の小さいものづくり企業の場合、社長自らが営業するケースも多いのではないでしょうか。
また、営業マンが社内にいる場合でも、いわゆる「御用聞き」営業になってしまいがちです。
※「御用聞き」営業とは:既存の取引先との関係性構築に重きを置き、客先を定期的に訪問し、顧客の要望通りのものを納品する営業
製造業において、新規開拓するための営業マンに求められる代表的なスキルとして、次の3つが挙げられます。
1.自社の技術と生産力の把握
2.コミュニケーション能力
3.業界や市場の知識
一口に製造業といっても、機械加工や板金加工、表面処理、樹脂成形などそのジャンルは多岐にわたります。そのため、他業界・他ジャンルで実績のある営業マンを採用したとしても、なかなか成果につながりにくいのが現状です。
売上予測が立ちにくく、投資しにくい
製造業は、その業態上、売上予測を立てにくい側面があります。
不安定な世界情勢による原材料や輸送費の高騰、材料不足などが影響し、製造ラインを100%安定的に稼働させるのが難しいからです。
また、売上予測にブレがあると、余剰在庫や生産の停滞などを引き起こす原因になります。
そのため、営業・マーケティング領域に投資しづらく、銀行から資金調達をしても設備投資や運転資金に回りがちです。
業界の構造上、新規発注に至りにくい
ITや不動産の営業と異なり、製造業では新規発注のきっかけが生まれにくい傾向にあります。
よほどのトラブルがない限り、昔から付き合いのある業者に依頼するのが常だからです。
見込み顧客が、新しく製造加工先を選ぶタイミングとしては
1) もう少し小ロット/大ロットで発注したい(生産力の課題)
2) 現在の委託先の品質不備や納期遅れ
3) 発注先を複数持ち、リスク分散する
の3つが挙げられます。
属人化してしまう
製造業の営業現場では、代表自らが足を運んで営業に行ったり、会社を知り尽くしているベテラン社員が既存の顧客に営業したりと、属人化しやすい環境になっています。
各個人のこれまでの経験やスキルに依存している上、部署間での連携がアナログになっているケースも多いため、その社員が退職することが業績ダウンに直結してしまいます。
SFA(Sales Force Automationの略。顧客管理などができる営業システム)を導入したり、オンライン会議ツールを使って営業を録画したりなどの工夫が必要です。
製造業の営業・マーケティングにおける課題を解決するには?
これらの課題を解決する打ち手は次の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
自社を知ってもらう機会を増やす
自社への問い合わせを増やすには、下記要素の掛け算が重要になります。
・どれだけ自社が他社の目に触れているか
・他社の目に触れたときに、反応してもらえるか
・反応した後に、どれだけ興味をもってもらえるか
つまり、まずは自社が他社の目に触れる回数を増やすことが、新規顧客から問い合わせをもらうための第一歩なのです。
Webサイトを豪華にしたり、営業用の資料を作り込んだり、といった施策は、「他社からの反応率」を高めるための施策に過ぎません。
とはいえ、闇雲に広告を出しても予算を無駄にしてしまいます。
なるべく小さな予算で、大きな宣伝効果を得るためには、「こんな会社がお客様にいたらいいな」を明確にし、その会社群に話を聞いてもらうことのできる手段を考えましょう。
システムやツールで営業の効率を上げる
システムやツールと聞くと、「導入が面倒くさそう」「毎月固定で費用がかかるのはちょっと、、」と思う方もいるかもしれません。
しかし、1人の営業マンを雇う費用を考えると、その金額以上に効果が出るシステム・ツールがあれば検討してみても良いでしょう。
例えば、ZoomやGoogleMeetなどのオンライン会議ツールなどが挙げられます。
資料の画面共有はもちろん、カメラを通して実際の製品や工場を見せることも可能です。
極端な話ですが、営業効率を上げて1ヶ月に10商談を15商談にできれば、それだけ受注につながる可能性も高まると考えられます。
外部に営業を委託する
営業人員の採用には最低でも1〜3ヶ月はかかります。
今いる技術部門の社員に営業をやってもらうとなると、仕事の引き継ぎだけでなく、営業マンとしての研修期間も必要となるかもしれません。
自社のリソース(人員)をすぐに調達できない場合は、営業代行会社やBtoBのマッチング業者など外部に委託してみましょう。
なぜ新規開拓をする必要があるのか
「新規開拓が大切なことなんて分かりきっている」「これまでもこれからも紹介だけでやっていける。全く問題視していない」という方は、そっと本記事を閉じていただいても構いません。
ただ、「3〜5年後の売り上げや利益に少し不安がある」という方は、新規開拓の必要性について再認識しておきましょう。
取引先への依存リスク
一つ目は、大口の取引先に売上を依存してしまうリスクを回避するためです。
その注文が入り続ける限りは安泰ですが、「製造先を変えることになった」「もう少し生産量のある工場にお願いしたい」と急に契約を打ち切られるリスクは常に存在します。
「来月の支払いがピンチになってから」
「生産ラインに空きができてから」ではなく、大口取引先に安定供給できているタイミングから、新規開拓を考え始めましょう。
実際、NC旋盤を得意としている有限会社杉町鉄工所様は、売上の9割が九州の自動車業界向けであり、特定の領域に依存せずに安定的に売上を作る方法を模索していました。
そこで、「Eigyo Engine」を活用し、新規開拓施策に投資したところ、4カ月で5社の新規顧客の開拓につながっています。
事例詳細はこちら
新しいビジネスにつながる
新規取引先を探す中で自社の技術が思ってもみなかった領域で輝く、といったような新しいビジネスチャンスは待っていても訪れません。
「製造ラインが需要に間に合うか」などの不安はつきものですが、未来の売り上げの種を蒔かないと杞憂で終わってしまいます。
どのように始めたら良いかわからない、という方は一度ぜひ弊社にご相談ください。
実際に、3000万円の受注につながった事例もございます。
産業機械等部品の製缶加工・機械加工を営む株式会社大登工業様では、代表自身が営業含め様々な業務を兼任している上、売上に波があるのが課題でした。
そこで、弊社が営業のマッチングを行い商談設定まで行ったことで、年間3,000万円程度の売上につながりました。
事例詳細はこちら
他社との差別化
差別化と聞くと、特許や技術的な差異を思い浮かべる方も多いですが、営業・マーケティングへの投資も十分に差別化要素です。
競合他者がまだ新規開拓に力を入れていないタイミングで、営業活動に投資できれば、費用対効果も大きいでしょう。
上記で紹介したような手紙営業やネット広告など、まずは小さく始めてみてはいかがでしょうか。
最後に
製造業に特化した営業・マーケティングをテーマに、最新の手法や課題解決策について解説しました。
会社規模や生産体制など、企業によって営業課題は千差万別です。
「この手法だと必ずうまくいく」という魔法のような打ち手はありませんが、知っているのと知らないのでは戦略に大きな差が生まれます。
営業・マーケティング手法について、図やイラストを入れて分かりやすくした資料もご用意しています。
無料でお配りしておりますので、組織の意識改革として、ぜひ一冊お手元にいかがでしょうか。