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2026年度 設備投資動向 徹底解説|計画企業は56.7%、中小製造業は1.7%増へ

  • 業界情報・トレンド

原材料価格や人件費、設備価格の上昇が続く一方、製造現場では設備の老朽化や人手不足への対応が急務となっています。

「設備を更新したいが、今投資してよいのか分からない」
「省人化を進めたいが、投資を回収できるか不安」
「新しい設備を導入しても、仕事を獲得できるか分からない」

このような悩みを抱えている中小製造業も少なくありません。

帝国データバンクの調査によると、2026年度に設備投資計画が「ある」企業は56.7%でした。過半数が設備投資を予定している一方、その割合は3年連続で低下しています。一方、日本政策金融公庫が実施した中小製造業の設備投資動向調査では、2026年度の国内設備投資額は、2025年度実績から1.7%増加する計画となっています。つまり、設備投資を行う企業の裾野は広がっていないものの、投資を行う企業は必要性の高い設備へ資金を集中させている可能性があります

本記事では、2つの調査をもとに、

  • 2026年度の設備投資計画
  • 中小製造業の設備投資額
  • 投資対象となっている設備
  • 企業規模・業種別の違い
  • 設備投資を行わない理由
  • 投資を売上につなげるポイント

を分かりやすく解説します。

index

    設備投資調査について

    本記事では、株式会社帝国データバンクと株式会社日本政策金融公庫が公表した2つの調査をもとに、2026年度の設備投資動向を解説します。

    どちらも企業の設備投資に関する調査ですが、実施した組織の役割や調査対象、集計方法が異なります。そのため、それぞれの特徴を理解したうえで結果を確認することが重要です。

     

     

    帝国データバンクとは

    出典:帝国データバンクHP https://www.tdb.co.jp/

     

    帝国データバンクは、企業の信用調査や企業情報の収集・提供、市場調査などを行う民間の調査会社です。

    企業の業績や財務状況だけでなく、景気動向、雇用、人手不足、価格転嫁、設備投資など、企業経営に関するさまざまな調査結果を公表しています。

    今回使用する「2026年度の設備投資に関する企業の意識調査」は、全国の企業を対象としたアンケート調査です。全国2万3,083社を対象に調査を行い、1万538社から有効回答を得ています。調査対象は製造業だけではなく、建設、卸売、小売、サービスなどを含む幅広い業種です。この調査からは、主に次のような企業の意識や行動を確認できます。

    • 設備投資を計画している企業の割合
    • 予定している設備投資の内容
    • 主な資金調達方法
    • 設備投資を行わない理由
    • 大企業・中小企業・小規模企業の違い

    つまり、帝国データバンクの調査は、「どれくらいの企業が設備投資を考えているのか」「企業が投資に対してどのような意識を持っているのか」を把握するのに適した調査です。

     

     

    日本政策金融公庫とは

    出典:日本政策金融公庫HP https://www.jfc.go.jp/

     

    日本政策金融公庫は、中小企業や小規模事業者、農林水産業者などの資金調達を支援する政策金融機関です。

    民間の金融機関による融資を補完しながら、事業者への融資や経営支援、調査研究などを行っています。今回使用する「第134回中小製造業設備投資動向調査」は、日本政策金融公庫の総合研究所が実施した調査です。対象となる母集団は、全国の従業員20人以上300人未満の中小製造業5万5,356社です。このうち3万社を抽出して調査票を送り、7,744社から有効回答を得ています。設備投資額については、回答結果をもとに母集団推計が行われています。

    この調査からは、主に次のような中小製造業の設備投資動向を確認できます。

    • 国内設備投資額
    • 前年度からの増減率
    • 業種別の設備投資額
    • 従業員規模別の設備投資額
    • 機械・装置や建物などの投資内容
    • 更新、能力拡充、省力化などの投資目的
    • 内部資金や借入金などの資金構成

    つまり、日本政策金融公庫の調査は、「中小製造業が実際にどれほどの金額を設備へ投じているのか」「どの業種や目的で投資が増えているのか」を把握するのに適しています。

    なお、「中小製造業5万社の調査」と表現する場合、5万社すべてから回答を得たわけではない点には注意が必要です。正確には、中小製造業5万5,356社を母集団とし、抽出した3万社のうち7,744社の回答をもとに推計した調査になります。

     

     

    2つの調査の違い

    両調査の違いを整理すると、次のようになります。

     

    ■本記事で使用する2つの設備投資調査の違い

    項目 帝国データバンク 日本政策金融公庫
    組織の特徴 企業信用調査や企業情報を扱う民間調査会社 中小企業などを金融面から支援する政策金融機関
    調査対象 全国の企業・全業種 従業員20人以上300人未満の中小製造業
    調査対象数 2万3,083社 母集団5万5,356社から3万社を抽出
    有効回答数 1万538社 7,744社
    集計方法 回答企業の割合を集計 回答をもとに設備投資額を母集団推計
    主な調査内容 計画の有無、投資内容、資金調達、見送り理由 投資額、業種別・規模別動向、投資目的
    調査から分かること 企業の設備投資に対する意識や姿勢 中小製造業の設備投資額と具体的な動向

    帝国データバンクの調査は、設備投資を計画する企業の割合や、投資を行う・行わない理由を確認するのに適しています。

    一方、日本政策金融公庫の調査は、中小製造業の設備投資額や、業種、企業規模、投資目的による違いを確認するのに適しています。

     

    本記事では、この2つの調査を組み合わせることで、

    • どれくらいの企業が設備投資を考えているのか
    • 中小製造業は実際にいくら投資しようとしているのか
    • どのような設備や目的に資金が向かっているのか

    を立体的に読み解いていきます。

     

     

    2026年度の設備投資動向

    設備投資計画がある企業は56.7%

    帝国データバンクの調査では、2026年度に設備投資計画が「ある」と回答した企業は56.7%でした。

    「すでに実施した」が6.4%、「予定している」が29.5%、「実施を検討中」が20.8%となっています。設備投資計画がある企業の割合は、2023年度の60.5%をピークに、2024年度58.7%、2025年度57.4%、2026年度56.7%と、3年連続で低下しています。一方、設備投資計画がある企業の予定額は、平均1億3,043万円です。前年の1億2,429万円から614万円増えています。

    この結果からは、設備投資を行う企業の割合は減少しているものの、投資を決断した企業では1社当たりの投資額が増えていることが分かります。

    出典:帝国データバンク「2026年度の設備投資に関する企業の意識調査」を元に作成

     

     

    中小製造業の投資額は1.7%増加する計画

    日本政策金融公庫の調査では、中小製造業の2025年度国内設備投資額は2兆8,234億円でした。2024年度実績から3.5%減少しています。

    一方、2026年度の当初計画は2兆8,727億円で、2025年度実績から1.7%増加する見込みです。また、前年の同じ時期に策定された2025年度当初計画と比べると、6.8%増加しています。2026年度の計画を上半期・下半期に分けると、上半期は前年同期比10.3%増、下半期は5.3%減となっています。年度前半に投資が集中する計画です。

    出典:日本政策金融公庫「第134回中小製造業設備投資動向調査・要約版 2025年度実績・2026年度当初計画(4月調査)」

     

     

    「投資をする企業」と「見送る企業」の差が広がっている

    設備投資計画がある企業の割合が低下する一方、中小製造業全体の投資額は増加する計画となっています。調査対象や集計方法が異なるため、単純な比較はできません。ただし、両調査からは次の傾向が読み取れます。

    すべての企業が一様に設備投資を拡大しているのではなく、投資できる企業が必要な設備へ資金を集中させる傾向が強まっている。

    老朽設備を更新しなければ生産を維持できない企業や、人手不足に対応するため省力化が必要な企業では、先行きが不透明でも設備投資を避けられません。一方、収益性や資金調達に不安がある企業では、設備投資を延期・縮小する動きが強くなっています。

     

     

    企業は何に投資しているのか

    最も多いのは設備の入れ替え・更新

    帝国データバンクの調査では、予定している設備投資の内容として、「設備の代替」が59.0%で最も多くなりました。

    設備投資の中心は、工場や生産能力を大きく拡大するための投資ではなく、古くなった設備の更新や、既存の生産体制を維持するための投資です。同調査のまとめでも、設備更新、人手不足への対応を目的とした省力化、AIを含むデジタル投資が上位に並ぶ一方、新規開発や増産・増設への投資は低い水準にとどまっていると分析されています。

    出典:帝国データバンク「2026年度の設備投資に関する企業の意識調査」を元に作成

     

     

    投資額の56.2%が機械・装置が占める

    中小製造業の設備投資額を内容別に見ると、2026年度当初計画では、機械・装置が1兆6,152億円で、全体の56.2%を占めています。

    建物・構築物は9,137億円で31.8%、車両・備品などは1,967億円で6.8%、土地は1,471億円で5.1%です。機械・装置への投資額は、2025年度実績から7.9%増加する計画です。中小製造業の設備投資では、引き続き工作機械、生産設備、自動化設備、検査装置などが中心となることが分かります。

     

     

    更新投資に加えて能力拡充も増加

    投資目的別に見ると、2026年度当初計画では、次の構成となっています。

    投資目的 構成比
    更新、維持・補修 32.7%
    能力拡充 31.5%
    省力化・合理化 15.3%
    新製品の生産・新規事業・研究開発 13.4%
    その他 4.7%
    省エネルギー 2.1%
    公害防止 0.3%

    更新・維持補修が最も多いものの、2025年度実績の35.2%からは低下しています。一方、能力拡充は30.3%から31.5%、省力化・合理化は14.7%から15.3%へ上昇する計画です。

    2026年度は、既存設備を維持するだけでなく、生産能力の拡大や省人化、新しい製品・事業への投資を増やそうとする動きもみられます。

    出典:日本政策金融公庫「第134回中小製造業設備投資動向調査・要約版 2025年度実績・2026年度当初計画(4月調査)」

     

     

    デジタル投資では企業規模による差が大きい

    DXまたはAIなどの情報化・IT化に投資する「デジタル投資」を計画している企業は、全体の35.1%です。

    規模別では、大企業が51.3%であるのに対し、中小企業は31.4%でした。両者には19.9ポイントの差があります。中小企業からは、DXによる改善余地を認識していても、対象業務が限定的で、十分な費用対効果を得られるか分からないという声も寄せられています。

    中小製造業がデジタル投資を進める際は、システムを導入すること自体を目的にせず、

    • 見積作成時間を何時間削減するのか
    • 段取り時間を何%短縮するのか
    • 不良率をどこまで下げるのか
    • 設備停止時間をどの程度減らすのか

    など、改善したい業務と目標を先に決めることが重要です。

     

     

    企業規模・業種別の設備投資動向

    小規模企業ほど設備投資計画が少ない

    帝国データバンクの調査では、設備投資計画がある企業の割合は、次のとおりです。

    企業規模 設備投資計画がある場合
    大企業 70.7%
    中小企業 54.3%
    小規模企業 42.0%

    企業規模が小さくなるほど、設備投資を計画している割合が低くなっています。特に小規模企業は前年から2.6ポイント低下しました。資金調達力や投資回収への不安、設備導入後の仕事量を確保できるかといった問題が、小規模企業の投資判断を難しくしていると考えられます。

     

     

    中小製造業では規模別に投資姿勢が分かれる

    日本政策金融公庫の調査では、2026年度の設備投資額について、従業員規模別に次の計画となっています。

    従業員数 2026年度計画額 2025年度実績比
    20~49人 9,002億円 5.9%増
    50~99人 7,322億円 0.6%増
    100~199人 8,172億円 4.1%減
    200~299人 4,232億円 7.4%増

    100~199人規模では減少を見込む一方、20~49人規模と200~299人規模では比較的大きな増加が計画されています。「企業規模が大きいほど必ず投資が増える」という単純な状況ではなく、受注環境や保有設備の更新時期、業種などによって投資姿勢が分かれています。

     

     

    17業種中10業種が投資増を計画

    2026年度の中小製造業の設備投資額は、17業種中10業種で増加する計画です。

    増加率が高い主な業種は、

    • 窯業・土石:33.8%増
    • パルプ・紙:21.1%増
    • プラスチック製品:17.8%増
    • 鉄鋼:16.8%増
    • 食料品:5.8%増
    • 金属製品:5.0%増

    です。

    一方、減少率が大きい業種は、

    • 繊維・繊維製品:40.7%減
    • その他製造業:30.3%減
    • 非鉄金属:26.3%減
    • 輸送用機器:20.6%減

    となっています。

    中小製造業全体では1.7%増ですが、業種ごとの投資環境には大きな差がある点に注意が必要です。

    出典:日本政策金融公庫「第134回中小製造業設備投資動向調査・要約版 2025年度実績・2026年度当初計画(4月調査)」

     

     

    設備投資の資金調達先

    主な資金調達方法は自己資金

    帝国データバンクの調査では、設備投資を予定している企業の主な資金調達方法として、自己資金が58.3%で最も多くなっています。

    金融機関からの長期借入は20.4%、短期借入は6.2%で、金融機関からの調達を合計すると26.6%です。補助金・助成金は6.2%ですが、中小企業に限ると7.2%となり、大企業の1.8%を上回りました。

     

     

    投資金額ベースで借入金が51.3%

    日本政策金融公庫の調査を投資金額ベースで見ると、2026年度当初計画の資金構成は、

    • 内部資金:47.9%
    • 借入金:51.3%
    • 増資:0.8%

    となっています。

    帝国データバンクは企業が回答した「主な調達方法」、日本政策金融公庫は設備投資額に占める「資金別構成比」であり、集計方法が異なります。それでも、設備投資を自己資金だけで賄う企業ばかりではなく、金融機関からの借入を組み合わせることが一般的であると分かります。

     

     

    設備投資を見送る企業が抱える課題

    設備投資を予定していない企業へ理由を尋ねたところ、最も多かったのは「先行きが見通せない」の50.2%でした。

    設備投資を行わない理由 割合
    先行きが見通せない 50.2%
    現状で設備は適正水準 23.9%
    投資に見合う収益を確保できない 15.5%
    借入負担が大きい 14.6%
    手持ち現金が少ない 14.0%
    設備投資コストの上昇 13.6%
    原材料・エネルギー価格高騰による利益率低下 12.0%
    人件費高騰による利益率低下 11.9%

    中小企業では、「先行きが見通せない」が51.0%で、大企業の40.4%を10.6ポイント上回っています。また、借入負担や手持ち資金への不安も、大企業より強く表れています。

    設備の老朽化が進んでいても、

    • 受注量を確保できるか
    • 材料費や人件費がさらに上がらないか
    • 借入金を返済できるか
    • 新設備を扱う人材を確保できるか

    が分からなければ、投資判断は難しくなります。

    一方で、老朽設備を使い続ければ、故障、保全費用、加工時間、不良率、電力消費などが増え、長期的には競争力を低下させる可能性があります。投資しないことにもコストがあるという視点が必要です。

     

     

    中小製造業が設備投資を成功させるポイント

    「設備を買うこと」を目的にしない

    設備投資を検討する際は、導入したい機械から考えるのではなく、解決したい課題から考えることが重要です。

    例えば、

    • 段取り時間を短縮したい
    • 夜間の無人運転を実現したい
    • 難削材に対応したい
    • 加工精度を高めたい
    • 検査工程を自動化したい
    • 新しいサイズや形状の部品を受注したい

    といった目的を明確にします。

    そのうえで、設備導入前後の数値を比較できるように、稼働率、加工時間、不良率、人員数、電力使用量などの指標を設定します。

     

    導入後の受注も想定する

    新しい設備を導入しても、仕事が増えなければ投資を回収できません。

    導入前に、

    • どの業界の案件を獲得するのか
    • どの材質・形状・サイズを狙うのか
    • 既存顧客から追加受注が見込めるのか
    • 新規顧客をどのように開拓するのか
    • 設備の空き時間をどう埋めるのか

    まで検討する必要があります。設備投資計画と営業計画をセットで考えることが重要です。

     

    自社保有と外注・レンタルを比較する

    すべての工程を自社設備で行う必要はありません。

    使用頻度が低い設備や、技術変化の速い設備については、外注、共同利用、レンタルなどを活用した方が、投資リスクを抑えられる場合があります。実際に企業からも、自社で設備投資するより外注やレンタルの方が、価格やリスク面で優れているという声が挙げられています。設備の稼働率、外注費、保守費、教育費などを比較し、保有すべき設備と外部へ任せる工程を整理しましょう。

     

    補助金ありきで判断しない

    補助金や助成金は、初期負担を軽減する手段として有効です。

    ただし、制度の対象や要件に合わせることを優先した結果、自社に必要のない設備を導入しては意味がありません。補助金がなくても投資回収が可能かを確認し、必要な設備投資を後押しする手段として補助金を利用することが大切です。

     

    人材育成まで投資計画に含める

    高性能な設備を導入しても、操作、プログラム作成、保全、品質管理を担う人材がいなければ、十分な効果を発揮できません。

    設備本体だけでなく、

    • 操作教育
    • CAMやソフトウェア
    • 治具・工具
    • 測定設備
    • 保守契約
    • 作業標準の整備

    まで含めて投資計画を作成する必要があります。

     

     

    設備投資を新規受注につなげるなら「Eigyo Engine」がおすすめ

    設備投資によって対応できる加工や生産能力が増えても、その情報が発注企業へ伝わらなければ、新しい受注にはつながりません。

    設備導入後は、次の情報を整理して発信することが重要です。

    • 導入した設備名・型式
    • 対応できる加工方法
    • 対応材質
    • 最大・最小加工サイズ
    • 対応可能な精度
    • 得意な形状
    • 対応ロット
    • 従来設備から改善した点
    • 生産能力や納期への効果

    単に「新しいマシニングセンタを導入しました」と伝えるのではなく、

    チタンの複雑形状をワンチャッキングで加工できる
    従来3工程だった部品を1工程に集約できる
    夜間の無人運転によって量産案件へ対応できる

    など、発注企業にとってのメリットへ置き換えて伝えることが大切です。

    営業製作所が提供する「Eigyo Engine」では、製造業の設備、技術、得意加工に合った企業を探し、新規取引先との接点づくりを支援しています。

    設備投資を検討しているが、導入後の仕事を確保できるか不安という企業にとっては、投資計画と並行して新規開拓を進めることも選択肢となります。

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