「年始は営業再始動のタイミング」
新年明けて最初の営業日、製造業の営業担当者にとっては営業再始動のタイミングです。年末年始の休暇を挟み「今年こそ!」と意気込む一方で、顧客側も独特の状況にあります。実は年末は多くの企業で「今年中に新しいことはしたくない」という心理が働き、商談日程も年明けに先延ばしされがちです。
そのため年末はBtoBの商談が停滞しますが、年始になると一転して「何か新しいことを始めよう」と考える企業も増えます。営業側としては、この年始特有の顧客心理を踏まえてアプローチを変えることが重要です。1月はすぐに「売る」よりも、関係づくりや種まきにフォーカスすることで、2月以降の大きな成果につなげられるでしょう。以下では、1月ならではの顧客の心理状態と、それに合わせた営業活動のポイントを解説します。
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年始の顧客心理:3つの独特なモード

年始の顧客は、年末までとは違う特有の心理状態にあります。営業担当者はまずこの心理を理解し、タイミングを見極めたアプローチを心がけましょう。以下に代表的な3つの顧客心理を紹介します。
経営計画・予算策定直後の慎重モード
多くの企業では年初に経営計画や年間予算が確定し、「今年は何に注力するか」が明確になった直後です。そのため、新規投資やプロジェクトに慎重になりつつも、計画達成に役立つ提案には耳を傾けやすい状態です。特に4月始まりの事業年度を採用する企業では、1月は新年度(4月)に向けた準備が本格化する時期でもあります。言い換えると、「今すぐ買う」より「情報収集・検討」の段階にいる顧客が多いのが1月の特徴です。営業側は、顧客の新方針や予算感を探りつつ、「今年の課題解決に寄与できる種」を提案すると良いでしょう。
溜まった営業メール整理中の状態
年末年始の休暇明け、顧客は受信トレイに溜まった大量のメールを整理しています。営業メールも一斉にチェック・取捨選択されるタイミングです。年末に送り残した提案メールがようやく開封される場合もあれば、新年の挨拶メールが多数届いて埋もれる場合もあります。この時期の顧客は、「必要な情報か?今読むべきか?」と素早く仕分けしている心理状態です。したがって、メールでアプローチするなら件名や冒頭でメリットが伝わる工夫が必要です。逆に言えば、年明けはメールに目を通してもらいやすい好機でもあります。休暇前後のドタバタが落ち着いたころ合いを見計らい、簡潔かつ有用な情報提供を心がけましょう。
年始あいさつモード(リレーションシップ重視)
ビジネスシーンでは新年最初の1〜2週間は新年の挨拶回りや名刺交換が活発な時期です。顧客企業も「今年もよろしくお願いします」というやり取りが続き、まだ本格的な商談モードには入っていません。多くの企業では松の内(一般的に1月7日頃)までに取引先へ挨拶する習慣があり、この間はスケジュールに比較的余裕があることが多いです。実際、「年末進行」を乗り越えてホッと一息ついた担当者は、新年最初の週はエンジンがかからず営業の誘いにも「まあ会ってもいいかな」という気分になりやすいとの声もあります。この「あいさつモード」の心理に合わせ、営業側もまずは礼儀正しく新年の挨拶を伝え、関係構築に徹することが重要です。顧客は「売り込み」よりも「信頼できるパートナーからの丁寧な挨拶」に心を開きやすいため、笑顔で訪問したり心のこもった年賀状を送ったりして存在感を示しましょう。
年始営業の成功パターン:信頼構築と種まきにフォーカス

営業活動で成功するには、お客様からの信頼獲得が欠かせません。特に年始の1月は、無理な売り込みよりも信頼構築と将来に向けた種まきに注力することが重要です。この期間に関係強化や情報提供を行い、今後の商談につながる土台を作りましょう。
| 項目 | 情報提供型営業 | 信頼構築型営業 | 種まき型営業 |
| 年始営業の適用 | △ | 〇 | 〇 |
| 目的 | 業界情報などを通じて関心を引く | 顧客と関係性を築き直す | 新規接点を増やし将来の商談に備える |
| 具体アクション |
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| 顧客からの印象 | 「役に立つ存在」と感じてもらえる | 「任せられる営業」として信頼される | 「熱心な企業」として記憶に残る |
| 2月以降の効果 |
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製造業などのBtoB営業では、年始は即時の受注よりも関係構築に注力する好機です。上記の表を参考に、顧客の状況(既存か新規か、ニーズの有無など)に合わせて情報提供・信頼構築・種まきをバランスよく実践しましょう。1月に信頼の土台と将来の案件タネを仕込んでおくことで、2月以降の商談を円滑にし、年間を通じた安定した成果につなげることができます。
1月の営業で仕込んでおきたい「2月以降のテーマ」

1月に行う営業活動は、2月以降の本格商談に向けた布石と位置づけると効果的です。ここでは、特に1月中に仕込んでおきたいテーマや施策をまとめます。営業担当者は自社の商品・サービスや業界スケジュールを踏まえ、以下のポイントを意識してみてください。
| 業界展示会への誘致・活用 | 年初から春先にかけて製造業界では大小さまざまな展示会が開催されます。例えば1月下旬には東京で「ファクトリーイノベーションWeek(スマート工場EXPOなど)」が行われ、DXやロボット、新技術に関するソリューションが一堂に会します。営業として、自社が出展する場合は早めに顧客をブースに招待したり、来場予定の顧客とは会場で名刺交換する約束を取り付けたりしましょう。出展しない場合でも、「○○の展示会に行かれますか?最新技術の情報共有しましょう」と情報提供の場として活用できます。展示会後には話題に上った課題や製品について改めて提案することで、商談を深掘りしやすくなります。1月のうちに展示会スケジュールを把握し、アポイントメントのきっかけとして活かしましょう。 |
| 自社の新製品・新サービス提案 | 新年は自社側も新製品や新サービスのリリースが多い時期です。1月の営業では、今年投入予定の新商品やアップデート情報を先行して顧客に紹介する絶好のチャンスでもあります。ポイントは、「今すぐ買ってください」ではなく「まず知ってもらう」ことに重きを置くことです。例えば「来月正式発表予定の新製品カタログをお届けします」「現在開発中の技術で御社の○○の課題解決につながりそうです」といった形で、予告編的な提案をします。顧客にとっては「新しい年に相応しい最新情報」として興味を持ってもらいやすく、2月以降に正式提案・商談へ進む布石となります。「〇月の展示会でデモ予定なので是非見に来てください」と案内すれば、次の接点もつくりやすくなるでしょう。新製品の種明かしを少し早めに行うことで、顧客の期待感を高めておくことが大切です。 |
| 年度末需要の先取りと提案 | 日本企業の多くは3月が年度末にあたり、予算消化や駆け込み発注が発生しやすい傾向があります。製造業でも、設備投資や部品調達などで「年度内に完了させたい案件」が潜在している可能性があります。営業担当者は1月の段階で主要顧客に対し、「年度末に向けて必要なものはありませんか?」とさりげなくヒアリングしてみましょう。もし3月納品に間に合わせたい案件が見つかれば、1月中に情報を掴んでおくことで提案・見積のリードタイムを確保できます。例えば「年度末ギリギリの発注になると製造が間に合わない恐れがありますので、今のうちにご相談いただければ幸いです」といった先手の提案をしておくと、顧客にも安心感を与えられます。予算繰り越しが可能な場合でも、「新年度案件を見据えて今のうちに準備しませんか?」と切り出し、来期案件の先行予約的な動きを作るのも有効です。要は、年度末に向けたニーズを早期に炙り出し、自社が支援できる領域を示すことで、2〜3月に一気に成果を上げる下地を作るわけです。 |
まとめ:1月は「売る」より「つながる」

年始の1月は、営業担当者にとって助走期間と位置づけましょう。
すぐに数字を追いかけるよりも、顧客とのつながりを強化することがキーワードです。経営計画がスタートしたばかりの顧客には焦りは禁物です。「相手の立場に立つ」ことを第一に、挨拶や情報提供を通じて信頼を深めてください。お客様は押し売りされることを嫌いますが、新たな気づきを与えてくれるパートナーには心を開きます。1月はまさにその姿勢を示すチャンスです。こうして蒔いた関係強化の種は、2月以降に商談が本格化するとき大きな実を結ぶでしょう。「売り急がず、将来につなげる」──それが年始営業を成功させる秘訣です。今年のスタートダッシュは、目先の契約よりも未来への布石に力を入れ、春以降の飛躍につなげていきましょう。
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