社会全体でSNS利用が当たり前になりつつある現在、企業にとってもSNSは無視できない情報発信チャネルです。しかし、「アカウントを作っても更新が続かない」「リソースが足りず運用が難しい」と悩む中小企業経営者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、自社で公式SNSアカウントを運用しなくてもSNSをPRに活用できる方法を紹介します。製造業をはじめとするBtoB企業の事例を交え、限られたリソースでも効果を出せるソーシャルメディア活用術を解説します。
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SNSを取り巻く現状

日本全体のSNSの利用状況
日本におけるSNS利用者数は2022年時点で約1億200万人にも達しており、年々増加を続けています。
もはや国民の大多数が何らかのSNSを利用しており、SNSは情報収集やコミュニケーションの基盤となっています。その中でも特に存在感を増しているのがTikTokです。TikTokは2025年11月時点で日本国内の月間アクティブユーザー数(MAU)が4200万を超え、3年前(2022年11月時点)の2120万人から約2倍に増加しました。これは日本人の約3人に1人がTikTokを利用している計算であり、従来のエンタメ系SNSに留まらず急速に普及しています。また、TikTok上で広告出稿を行う企業数も48万社を超えており、企業のマーケティングにおいても重要なタッチポイントとなっています。このようにSNSは今や企業にとっても避けて通れない広報・集客チャネルとなっています。
企業のSNSの利用状況
一方で、企業のSNS活用の現状を見ると道半ばとも言えます。
帝国データバンクの調査では、社外向け情報発信ツールとしてSNSを「活用している」企業は4割に留まり、半数以上の企業はSNSを活用できていないといいます。特に製造業などBtoB企業では「自社はBtoBだから必要性を感じない」といった理由でSNSを活用していないケースも多いようです。しかし前述の通り、若年層を中心に幅広い年代が利用するSNSは顧客や人材との接点として無視できません。SNS利用が広がる現在、たとえBtoB企業であっても自社の情報発信にSNSをどう取り入れるかが問われているのです。
SNS運用の課題

SNSが重要と分かっていても、実際に企業アカウントを立ち上げて運用するには多くのハードルがあります。
- 運用の手間や工数
- コンテンツ制作のハードル
- 炎上や情報漏洩への不安
課題① 運用の手間や工数
まず運用の手間や工数です。アカウント開設後は定期的なコンテンツ企画・制作と投稿を継続しなければなりません。
投稿のクオリティを維持しつつ週数回の発信を行い、ユーザーからのコメントやメッセージにも対応する必要があります。さらに、投稿の効果測定(エンゲージメントやアクセス解析)を行いPDCAサイクルを回すなど、SNS運用には幅広いスキルと時間が求められます。これらを専任もしくは兼任で担う人材を確保すること自体が、中小企業にとって大きな負担です。実際、企業からは「人手不足でSNS担当者を割けない」「社内にSNSに関する教育をする余裕がない」といった声も聞かれます
課題② コンテンツ制作のハードル
また、コンテンツ制作のハードルも課題です。
魅力的な文章や画像・動画を継続的に作るにはセンスとノウハウが必要ですが、製造業などでは社内にマーケティング人材がいない場合も多いでしょう。「何を発信すれば良いか分からない」「ネタ切れで更新が止まってしまった」という事態に陥り、せっかく開設したアカウントが休眠してしまう例も見られます。
課題③ 炎上リスクや情報漏洩への不安
さらに炎上リスクや情報漏洩への不安も中小企業がSNS活用に二の足を踏む要因です。
不適切な投稿が拡散して企業イメージが損なわれるリスクや、社員がうっかり機密情報を発信してしまうリスクを懸念する声もあります。
こうした運用負担やリスクを考えると、「SNSは活用したいが自社アカウントを運営するのは大変だ」という企業が多いのも頷けます。特に人的リソースやノウハウに限りがある中小企業にとって、SNS公式アカウントの継続運用は大きなチャレンジとなっているのが実情です。
自社アカウントなしでSNSを活用する3つの方法

では、自社で公式SNSを運用しなくてもSNSの拡散力をPRに活かすにはどうすれば良いのでしょうか。ここからはアカウントを自社運用しないSNS活用の具体的手法を3つ紹介します。それぞれ概要と特徴、メリット・デメリットを見ていきましょう。
1.ジャンル特化型SNSメディアの活用

業界やテーマに特化して情報発信を行っている第三者運営のSNSアカウントやコミュニティを活用する方法です。例えば製造業やBtoBビジネスに特化した情報発信を行うTwitterアカウント、エンジニア向けのInstagramコミュニティ、業界専門のYouTubeチャンネルなどが該当します。自社でアカウントを持たなくても、こうした特定ジャンルに強いSNSメディアに自社の商品・サービスや取り組みを取り上げてもらうことで、狙ったターゲット層にアプローチできます。
| メリット | ターゲット層への直撃効果 |
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| フォロワー基盤を活用できる |
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| 業界知見を活かしたコンテンツ |
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| デメリット | リーチ規模の限定 |
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| 掲載コストや条件 |
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| 他社情報との混在 |
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製造業SNSメディアの紹介① 工場勤務に沼る私たち(TikTok)

営業製作所株式会社が運営する製造業の現場にフォーカスしたユニークなTikTokアカウントで、工場で働く人々のあるあるネタや仕事の魅力、裏側の凄さなどを発信しています。開設以来順調にファンを増やしています。フォロワーの多くは20~30代の製造業従事者やモノづくりに興味のある若者で、製造業界ならではのネタに「わかる!」「面白い」と共感する熱量の高いコミュニティが形成されています。TikTok特有の拡散力も相まって、投稿動画の再生数が数十万回に達することも珍しくありません。
出典:https://www.tiktok.com/@eigyotaht6z
製造業SNSメディアの紹介② ものづくり太郎チャンネル(YOUTUBE)

製造業ビジネス系YouTuber「ものづくり太郎」。YouTube上で製造業に関する解説動画を発信し、業界ではNo.1の影響力を持つインフルエンサーとされています。製造業全般・BtoB技術に特化。工作機械、工場の自動化、製造プロセス、新素材や半導体製造など、幅広いモノづくり技術トピックを専門的かつ分かりやすく解説しています。
出典:https://www.youtube.com/channel/UCY9KXoezyo6cp-YwguOOCcg
製造業SNSメディアの紹介② 佐賀県ものづくりチャンネル(YOUTUBE)

佐賀県が企画・管理・運営しているものづくりに関する公式チャンネルであり、自治体発のプロジェクトです。県内の製造業企業で働く「職人」(従業員)に密着取材した動画シリーズが中心で、働く人々や企業の魅力を引き出す内容になっています。具体的には、職場インタビューや工場の様子紹介、さらにはイベントや技術紹介など、ものづくり産業の魅力を伝える映像コンテンツが多数公開されています。
出典:https://www.youtube.com/@sagamonodukuri
2.インフルエンサー・ギフティング(PR投稿)

SNS上で影響力を持つインフルエンサー(TikTokerやYouTuber、Instagrammer等)に自社の商品やサービスを紹介してもらう方法です。具体的には、商品をインフルエンサーに提供して使用感を発信してもらう「ギフティング」や、金銭契約を結んでレビュー投稿してもらう有償タイアップ(PR投稿)があります。自社公式アカウントを持たずとも、インフルエンサーの発信力を借りて自社PRが可能になります。
| メリット | 低コストでリアルな訴求 |
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| ターゲット層への浸透力 |
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| UGC創出と波及効果 |
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| デメリット | 投稿される保証がない |
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| 効果測定が難しい |
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| ブランド管理上のリスク |
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3.ニュース・バイラルメディアへの広告出稿

Yahooニュースや業界専門ニュースサイト、あるいは「バイラルメディア」と呼ばれる話題コンテンツサイトに広告記事やタイアップコンテンツを出稿する方法です。具体的には、オンラインニュースサイト上に自社のプレスリリースを転載してもらったり、バイラルメディアの編集部と協力して自社ネタを記事化(ネイティブ広告)して配信するといった形です。これにより、そのメディアが持つ読者層やSNS拡散網に自社情報を届けることができます。
| メリット | 信頼性と拡散力 |
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| プロによるコンテンツ制作 |
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| 幅広いリーチ |
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| デメリット | 費用負担が大きい |
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| 自社意図とのギャップ |
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| 一過性になりやすい |
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製造業バイラルメディアの紹介① 現場改善ラボ

現場改善ラボは、動画で現場教育を支援するサービス「tebiki」を提供するTebiki株式会社が運営するオウンドメディアです。同社のミッション「現場の未来を切り拓く」の一環として立ち上げられており、製造業をはじめ建設・物流・小売・サービス業など幅広い現場産業の従事者に向けた情報発信を行っています。現場の課題解決・カイゼンに役立つ多彩なコンテンツを提供しています。具体的には、現場改善の専門家によるオンラインセミナー動画(ウェビナー)が充実しており、デジタル技術の活用や品質・安全対策、人材育成、生産効率向上などテーマ別の講座を多数開催・配信しています。併せて、現場ノウハウ記事やコラムも豊富で、例えば「旋盤作業の安全対策10選」「出荷作業の安全対策」「倉庫管理マニュアルの作り方」といった具体的なタイトルの記事が定期的に掲載されており、安全・品質・生産性など現場の様々なトピックを扱っています。
製造業バイラルメディアの紹介② ものづくり.com

ものづくりドットコムは製造業の「困りごと解決のための知識共有プラットフォーム」として、非常に豊富なコンテンツを備えています。その柱となっているのが、200名超の登録専門家(コンサルタント、大学教授、企業の技術者など)による技術解説記事や課題解決ノウハウ記事です。生産管理手法、品質工学、コストダウン、設備保全、IoT導入など、製造業が直面するあらゆるテーマについて専門家が執筆した解説記事・事例記事が約6,500本公開されており、その多くは会員でなくても無料で閲覧可能です。また、製造現場のスキルアップ支援としてセミナー動画コンテンツも充実しています。
出典:https://www.monodukuri.com/
製造業バイラルメディアの紹介③ 工場経営ニュース

工場経営ニュースは、中小製造業向けのDX推進コンサルティング事業を行う株式会社ジャパン・エンダストリアル(Japan Emdustrial Inc.)が運営するウェブメディアです。中小規模工場の経営に役立つ具体的情報提供にフォーカスしています。コンテンツの形式は大きく分けてニュース記事と企画記事(インタビュー・コラム)です。まずニュース記事では、「業界トレンド」「調査・データ」「経営ノウハウ」「新製品・サービス紹介」などのカテゴリで記事を配信します。例えば、自動車業界や産業用ロボット業界の最新動向、大手企業・官公庁による調査結果の紹介、中小製造業向けの助成金情報、新しく登場した生産管理ソフトやIoTサービスのニュースリリース等、経営戦略の立案や工場のDX化に役立つ旬の情報をタイムリーに届けています。
出典:https://www.emdustrial.net/
既存SNSメディアとのタイアップが最も費用対効果が高い理由

以上3つの手法を紹介しましたが、特に費用対効果が高いのは「既に多くのフォロワーや視聴者を持つアカウント」に取り上げてもらう方法です。自社でゼロからフォロワーを獲得するのではなく、最初から影響力のある発信源に乗ることで、短期間で最大限のリーチとエンゲージメントを得られるからです。
最後に、TikTokを含むSNSは今や単なる娯楽の域を超え、中小企業のビジネスにも大きな影響を与える存在に進化しています。自社アカウント運用が難しい企業こそ、こうした既存SNSメディアとの協業を上手に活用してみてはいかがでしょうか。「工場勤務に沼る私たち」のような信頼とファンを獲得しているアカウントとタイアップすることで、SNS未経験でも効率的に成果を上げることができます。限られたリソースを有効活用しつつ、SNSの波に乗って自社の魅力を発信する一歩を踏み出してみましょう。
自社アカウントなしでSNS活用するなら営業製作所の「工場勤務に沼る私たち」への掲載がおすすめ

「工場勤務に沼る私たち」ではこれまでに複数の企業タイアップ企画が行われており、そのいずれもが高い反響を生んでいます。例えば中小製造業A社が自社の工場見学ツアーをこのアカウントで紹介してもらったところ、動画内で映し出された職場の雰囲気や技術に対して「こんな工場で働いてみたい」「技術がすごい」といった反応が集まり、結果的にA社では採用応募や取引引き合いが増加する効果があったといいます。また別の事例では、B社の新製品(産業用工具)を実際に工場の現場で使ってみせるタイアップ動画が投稿され、製造業界のユーザーを中心に拡散。【いいね】やシェアの数も平時の数倍となり、B社の製品認知度向上につながりました。こうした成功事例が示すように、既存SNSメディアとのタイアップはSNS初心者の企業でも即効性のある成果を得やすい手法なのです。
高コスパの理由:
「工場勤務に沼る私たち」のように既にファンコミュニティができているアカウントに乗るメリットは計り知れません。
- 自社でフォロワー0からSNS運用を始める場合と比べて圧倒的に速く大量のユーザーにリーチできます
- もともとそのアカウントのコンテンツを好んでいるフォロワーにアプローチできるため、宣伝臭さを感じさせずスムーズに受け入れられやすい
- 結果として投下コストに対するリターン(認知拡大や反応)の効率が非常に高い
タイアップを実施した企業からは「短期間で問い合わせが増えた」「今までアプローチできなかった若年層にリーチできた」など手応えのある声が多数寄せられています。
「工場勤務に沼る私たち」に関する詳しい情報・お問い合わせはこちら
