製造業に役立つコンテンツ特集 【事例付き】製造業が『ものづくり補助金』を活用するには?採択率や申請方法まとめ

補助金

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製造業を取り巻く環境は日々変化しており、技術革新や市場のグローバル化に伴う競争の激化、さらには人手不足や資材コストの上昇など、多くの課題に直面しています。これらの課題に効果的に対応し、持続可能な成長を実現するためには、生産性の向上や製品の高付加価値化が不可欠です。

そこで重要な役割を果たすのが「ものづくり補助金」です。

この補助金を活用することで、製造業者は必要な設備投資や技術革新を支援され、自社の競争力を一層強化することができます。ここでは、製造業がものづくり補助金を有効に活用するために、補助金の概要と申請期間、対象事業所について詳しく解説します。

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ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が近年及び将来にわたって遭遇する可能性のあるさまざまな制度改革(例えば、働き方の改革、社会保険の範囲拡大、給与の増加、インボイス制度の実施など)に効率的に対応できるように支援する制度です。この補助金は、革新的な製品やサービスの創出、または生産プロセスの効率化と省力化を推進し、中小企業や小規模事業者の生産性の向上に必要な設備投資を後押しすることを目的としています。

2024年ものづくり補助金の公募期間

2024年のものづくり補助金は、18次公募が予定されています。

公募開始日令和6年1月31日(水) 
申請開始日令和6年3月11日(月)
申請締切日令和6年3月27日(水)


それ以降の公募については未定となっていますが、通年で公募されています。

ものづくり補助金の採択率

公募回採択率
12次58.6%
13次58.0%
14次50.7%
15次50.2%
16次48.8%


ものづくり補助金の公式サイトで公表されている採択率の直近5回分をまとめてみました。

48%〜58%程度を推移していますが、過去3回については50%前後と低くなっていることが分かります。

他の補助金と比較して採択されやすいとは言えますが、十分に準備・対策が必要であることが分かります。

ものづくり補助金の対象事業者について

ものづくり補助金は、製造業をはじめとして、さまざまな業種が対象となっています。上記でもお伝えしている通り、中小企業・小規模事業者が対象となっており、資本金の額(または出資の総額)、常勤従業員数が定められています。

①中小企業者(組合関連以外)

業種資本金常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ、チューブ製造業、工業用ベルト製造業を除く)
3億円以下900人以下
ソフトウェア業、情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
その他の業種(上記以外)3億円以下300人以下


②中小企業者(組合関連)

組織形態
企業組合
協業組合
事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
商工組合、商工組合連合会
商店街振興組合、商店街振興組合連合会
水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会
内航海運組合、内航海運組合連合会
技術研究組合(直接又は間接の構成員の3分の2以上が中小企業者であるもの)


③特定事業者の一部

業種資本金常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業10億円以下500人以下
卸売業10億円以下400人以下
サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
10億円以下300人以下
その他の業種(上記以外)10億円以下500人以下

④その他

  • 特定非営利活動法人 
  • 社会福祉法人 

18次公募において対象外になるケース

18次公募において、対象外になるケースについてご紹介します。

主な対象外のケースは以下の通りです。

  • 同一法人・事業者から複数の申請があった場合
  • 17次公募「省力化(オーダーメイド)枠」に申請をした事業者
  • 過去3年間に2回以上交付決定を受けた事業者
  • 主たる課題の解決を他者へ外注や委託する事業
  • 購入した設備を事業で活用するのではなく長期間賃貸するような事業
  • 応募締切日の10ヶ月以内に交付決定を受けた事業者で実績報告書が未提出
  • 大企業が所有している中小企業者で、発行済株式の1/2以上をその大企業が所有している
  • 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者
  • 外国法人の経費
  • 商品等の生産に係る機械装置・システム構築費以外の諸経費

場合によっては、要件を満たすような場合でも、対象外に当たるケースがありますので注意が必要です。

例えば、『過去3年間に2回以上交付決定を受けた事業者』は、それだけでものづくり補助金の対象外となってしまいます。そのようなことから、要件を満たすことだけに意識するだけではなく、対象外となるケースについても理解しておくことが重要です。

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ものづくり補助金の種類(申請枠・類型)

ものづくり補助金には、以下3種類の申請枠・類型があります。

①省力化(オーダーメイド)枠

②製品・サービス高付加価値化枠

③グローバル枠

順番にその概要をお伝えしていきましょう。

①省力化(オーダーメイド)枠

「省力化(オーダーメイド枠)」枠組みは、労働力不足の問題に対処するため、デジタル技術等を駆使してカスタマイズされた設備の採用により、事業の効率化と高度化を図るための革新的な生産プロセスやサービス提供手法の実現を目的とした設備やシステムの導入を奨励する支援プログラムです。

この申請枠において支援対象となる経費には、設備やシステムの設計・構築にかかる費用、輸送費、技術移転費、知的財産関連費用、外部委託費、専門家への報酬、クラウドサービスの利用費、原材料購入費などが含まれます。

項目要件
補助金額■従業員数
・5人以下 :100万円~750万円
・6~20人 :100万円~1,500万円
・21~50人 :100万円~3,000万円
・51~99人 :100万円~5,000万円
・100人以上:100万円~8,000万円
補助率■中小企業
・補助金額1,500万円まで:1/2
・補助金額1,500万円を超える部分:1/3

■小規模企業者
・小規模事業者補助金額1,500万円まで:2/3
・補助金額1,500万円を超える部分:1/3


②製品・サービス高付加価値化枠

「製品・サービス高付加価値化枠」は、「通常類型」と「成長分野進出類型(DX・GX)」の二つのパターンが設定されており、それぞれにおける補助金の額や補助率、そして適用条件が異なります。通常類型では、新規性や革新性を持つ製品やサービスの開発を推進するための、設備投資やシステム導入を支援の対象としています。この類型でのプロジェクトでは、新しいサービスを市場に導入するだけでなく、企業独自の技術やノウハウを活かして、顧客に新たな価値を提供する製品やサービスの開発が求められます。

さらに、業界内で既に広く採用されている製品やサービスの開発については、補助の対象から除外されることがあるため、その点にも注意が必要です。

成長分野進出類型(DX・GX)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)およびグリーントランスフォーメーション(GX)といった、将来性の高い領域への進出を目指し、革新的な製品やサービスを生み出すための投資を後押しするカテゴリです。

この枠組みで補助金を申請するには、特定の基準を満たすことが求められます。

項目要件
補助金額■通常類型 
従業員数
・5人以下:100万円~750万円
・6~20人:100万円~1,000万円
・21人以上:100万円~1,250万円

■成長分野進出類型(DX・GX) 
従業員数
・5人以下:100万円~1,000万円
・6~20人:100万円~1,500万円
・21人以上:100万円~2,500万円
補助率■通常類型
・中小企業:1/2
・小規模企業者・小規模事業者:2/3
・新型コロナ回復加速化特例 :2/3

■成長分野進出類型(DX・GX)
・中小企業:2/3
・小規模企業者・小規模事業者:2/3


③グローバル枠

「グローバル枠」は、海外展開を通じて国内の効率と生産性を向上させるための活動に資する設備やシステムへの投資をサポートする補助金制度です。

この枠組みでは、最大で3000万円という大規模な補助金を提供しています。

対象となる「海外事業」には、特定の基準があります。条件に合致する事業計画を持つ企業にとって、グローバル枠の活用は大きなチャンスとなります。

ただし、グローバル枠を利用する際は、各海外事業の定義に応じて設けられた追加の要件に留意する必要があります。

項目要件
補助金額■100万円~3,000万円
補助率■中小企業:1/2
■小規模企業者・小規模事業者:2/3

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ものづくり補助金の補助対象となる経費

補助金の適用を受ける経費は、本プログラムで定められた対象範囲に明確に該当するものでなければなりません。

該当する経費の必要性と金額の適正さについて、証明書類を通じて確認できる必要があります。

さらに、これらの対象となる経費には条件があり、補助金の交付が決定された日以降に注文され、補助金の実施期間内にその支払いが完了していなければなりません。

対象となる経費は以下の通りです。

1)機械装置・システム構築費

  1. 機械・装置、工具・器具具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)
  2. の購入、制作、借用に要する経費
  3. 専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費
  4. 改良・修繕または据付けをする経費

2)運搬費

  • 運搬料、宅配・郵送等に要する経費

3)技術導入費

  • 知的財産権等の導入に要する経費

4)知的財産権等関連経費

  • 新製品・サービスの事業化に当たって必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用、外国特許出願のための翻訳料等の知的財産権等取得に関連する経費。

5)外注費

  • 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査などの一部を外注(請負、委託など)する場合の経費。

6)専門家経費

  • 事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費。

7)クラウドサービス利用費

  • クラウドサービスの利用に関する経費(サーバーの物理的なディスク内のエリアを借入、リースを行う費用、サーバー上のサービスを利用する費用等)

8)原材料費

  • 試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費(試作品の開発のために購入する原材料等の数量は必要最小限にとどめ、補助事業終了時には使い切ることが原則)

9)海外旅費

  • 海外事業の拡大・強化等を目的とした、本事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊等に要する経費

10)通訳・翻訳費

  • 事業遂行に必要な通訳及び翻訳を依頼する場合に支払われる経費。

11)広告宣伝・販売促進費

  • 海外展開に必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出典等、ブランディング・プロモーションにかかる経費。

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ものづくり補助金の活用事例2選

過去に採択されたものづくり補助金事業の活用事例のうち、製造業経営者の参考になる企業事例を2つご紹介します。

1.山陽精螺工業株式会社様(2021年公開事例)

公式サイト:http://www.sanyo-seira.co.jp/

山陽精螺工業株式会社様は、広島県安芸高田市に本社を構える精密ねじのエキスパートです。

【ものづくり補助金活用の背景】

山陽精螺工業株式会社様では、大手顧客からユニット化や大型化、材料の自社購買などのニーズが高まっていました。また短納期化の要請にも応えていく必要がありました。これらに対応するには、大型ワークの高精度加工を実現する工作機械や測定機器の導入、作業工程の一部内製化が不可欠でした。

【ものづくり補助金の活用目的】
同社では、こうした課題に対応するため、ものづくり補助金を活用し、以下のような設備投資を行いました。

・令和元年度:横型5軸複合加工機の導入、焼鈍炉の追加設置、第4工場建設、自動倉庫設置など生産環境整備と効率化

・平成29年度:全自動システムバンドソーの導入による鋼材切り出し作業の自動化

これらにより、大型部品の高精度加工体制の確立、リードタイム短縮を目指しました。
また、鏡面仕上げ研磨装置や定温室の設置など、顧客ニーズに応える体制づくりも自己資金で並行して進めました。

2.アロン電機株式会社様(2021年公開事例)

公式サイト:http://www.aron.co.jp/index.html

アロン電機株式会社様は、鹿児島県薩摩郡に本社を構える製造業で、金型治工具及び自動機の製作事業を展開しています。

【ものづくり補助金活用の背景】

アロン電機株式会社様は、顧客からのユニット化・モジュール化需要の高まりに対応するため、クリーンルームの設置など生産体制の強化・充実を進めていました。
こうした中、顧客の高い試作研究開発案件への技術的対応力をさらに強化するため、ものづくり補助金の活用を決めました。

【ものづくり補助金の活用目的】

同社は、以下のような目的でものづくり補助金を活用しました。

・令和元年度:最新の平面研削盤の導入と低温化環境の取り入れによる、他社にできない高精度加工技術の確立

・平成29年度:高精度縦型マシニングセンタ導入によるステンレス等難削材加工の自動化・効率化

これらにより、以下のような成果も得ています。

・平面度2㎛という高精度加工を現場の創意工夫で実現し、顧客の半導体製造装置精度向上に寄与

・ステンレス加工の自動化で生産性が向上し、作業者の負荷も軽減。他材質への応用も可能に

参考:成果事例のご紹介|ものづくり補助金総合サイト

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ものづくり補助金『申請手続き』の流れ

ものづくり補助金を利用するには、以下に示した流れで申請手続きを行う必要があります。

また、補助事業の終了後においても、機械装置などの保管義務や報告書の提出が必要となりますので、理解しておくことが大切です。

①事業計画書の作成

交付規定、様式に基づいて作成します。

②ものづくり補助金事務局に交付申請

電子申請システムにアクセスして申請します。

③事務局の審査・交付決定

提出した書類が審査され、問題なければ交付決定の手続きとなります。交付決定日をもって、補助事業を始めることができます。

④補助事業の実施・遂行状況の報告
「補助事業遂行状況報告書」により補助事業の進捗状況について報告します。補助事業期間中に事務局担当者により中間監査が行われる場合もあります。

⑤計画の変更

やむを得ず補助事業の計画に変更が生じる場合には、定められた申請書を事務局に提出し、承認を受ける必要があります。

⑥事業の完了・実績報告書の提出

事業上必要な手続き(設備投資、購入物品等の納品・検収・支払等)がすべて完了すれば、「補助事業実績報告書」および必要書類を事務局に提出します。

⑦補助金の交付

実績報告書の検査後、事務局が事業の実施場所の訪問を経て、問題なければ補助金額が確定する。「補助金確定通知書」を受領すれば精算払の請求が可能となります。

⑧補助金終了後の義務

補助事業終了後も処分制限期間内は保管する義務があります(単価50万円以上の機械装置等の財産)。また、事業化状況・知的財産権等報告書を提出しなければなりません。

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まとめ

ものづくり補助金は、製造プロセスの革新、生産効率の向上、製品の高付加価値化、そして市場拡大など、製造業の競争力を高めるための幅広い取り組みをサポートしています。

製造業が「ものづくり補助金」を活用するためには、まず、補助金の対象となるプロジェクトの範囲を理解することが重要です。

また、補助金の利用には、プロジェクトの開始前に申請を行い、承認を受けることが前提となるため、申請期間や手続きの詳細を事前に確認しておくことが肝心です。

補助金の活用によって、初期投資の負担を軽減し、より高度な技術や新たな市場への挑戦を可能にすることで、製造業の持続的な成長と発展が目指せます。

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