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「プレス機の導入に活用できる補助金3選!」

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中小企業や小規模事業者が持続可能な成長を遂げるためには、革新的な技術の導入や生産性の向上が不可欠です。
しかし、先進的な機械設備、例えばプレス機の導入には、高額な投資が必要となることが多く、多くの企業にとって大きな負担となります。
このような課題に対処し、企業の競争力を強化するために、政府や地方自治体から様々な補助金プログラムが提供されています。
ここでは、プレス機の導入を検討している中小企業や小規模事業者が活用できる、三つの代表的な補助金について紹介します。
補助金の特徴から補助対象、補助経費、採択率など、具体的な申請や利用方法について詳しく解説していますので、最大限に活用するためのガイドとしてご活用ください。
プレス機の導入に活用できる補助金3選!補助上限額、補助率、補助対象者・経費、採択率まとめ
プレス機の導入に活用できる主な補助金として、以下の3種類をご紹介します。

  • ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)
  • 事業再構築補助金
  • 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(競争力・ゼロエミッション強化枠)

それぞれの補助金の特徴をはじめとして、補助対象や補助経費、採択などについて詳しく解説いたします。

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    ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

    日本の中小企業や小規模事業者は、働き方改革や被用者保険の適用範囲拡大、賃上げ、インボイス制度の導入など、今後数年間にわたり様々な制度変更に直面しています。
    これらの変化に適応し、競争力を維持するためには、生産性の向上が不可欠です。この課題に対処するための一つの有効な手段が、『ものづくり補助金』の活用です。

    特徴

    ものづくり補助金、正式には『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』と称されるこの制度は、中小企業や小規模事業者が直面する制度変更に柔軟に対応し、生産性を向上させるための補助を目的としています。
    特に、革新的な製品やサービスの開発、生産プロセスの効率化など、事業の質的向上を図るための設備投資を支援することがこの補助金の大きな特徴です。

    補助上限額、補助率

    ものづくり補助金には3種類の申請枠・類型があります。

    1. 省力化(オーダーメイド)枠
    2. 製品・サービス高付加価値化枠「通常類型・成長分野進出類型(DX・GX)」
    3. グローバル枠

    それぞれに補助上限額、補助率が定められています。例えば、省力化(オーダーメイド)枠であれば、最大で1億円、補助率は中小企業で1/2となっています。

    事業類型 補助率 補助金額
    省力化
    (オーダーメイド)枠
    ■中小企業
    ・補助金額1,500万円まで:
    1/2
    ・補助金額1,500万円を超える部分:
    1/3
    ■小規模企業者・小規模事業者
    ・補助金額1,500万円まで:
    2/3
    ・補助金額1,500万円を超える部分:
    1/3
    ■従業員数
    ・5人以下 :100万円~750万円
    ・6~20人 :100万円~1,500万円
    ・21~50人 :100万円~3,000万円
    ・51~99人 :100万円~5,000万円
    ・100人以上:100万円~8,000万円
    製品・サービス
    高付加価値化枠
    ■通常類型
    ・中小企業:
    1/2
    ・小規模企業者・小規模事業者:
    2/3
    ・新型コロナ回復加速化特例 :
    2/3■成長分野進出類型(DX・GX)
    ・中小企業:
    2/3
    ・小規模企業者・小規模事業者:
    2/3
    ■通常類型
    従業員数
    ・5人以下:100万円~750万円
    ・6~20人:100万円~1,000万円
    ・21人以上:100万円~1,250万円■成長分野進出類型(DX・GX)
    従業員数
    ・5人以下:100万円~1,000万円
    ・6~20人:100万円~1,500万円
    ・21人以上:100万円~2,500万円
    グローバル枠 中小企業:1/2
    ・小規模企業者・小規模事業者:
    2/3
    100万円~3,000万円
     

    補助対象者・経費

    ものづくり補助金は、製造業をはじめとする幅広い業種の中小企業や小規模事業者を対象としています。
    建設業、運輸業、旅行業、卸売業、サービス業、ゴム製品製造業、ソフトウェア業や情報処理サービス業、旅館業など、多岐にわたる分野の事業者が支援の対象となります。
    これらの業種に属する事業者は、資本金の額や出資の総額、常勤従業員数に基づき、補助金の適用を受ける資格を有します。
    支援される経費は多岐にわたります。
    新たなプレス機などの機械・装置や工具・器具具(測定工具や検査工具、電子計算機、デジタル複合機など)の購入から、これらの制作や借用に必要な費用が含まれます。
    さらに、製品を運搬する際の運搬費、新たな技術を導入するための技術導入費、知的財産権関連経費、外注費、専門家に支払う経費なども、補助金の支援対象となります。
    これにより、事業者は必要な設備投資をより効率的に、経済的な負担を軽減しつつ行うことが可能になります。
    この補助金を利用することで、事業者は必要な設備をより低い負担で導入することが可能となり、中長期的な生産性の向上に繋がります。

    採択率

    ものづくり補助金は申請すれば必ず採択されるものではありません。下記の通り、48%から58%の間で推移しており、戦略的に申請を進める必要があります。

    公募回 採択率
    12次 58.6%
    13次 58.0%
    14次 50.7%
    15次 50.2%
    16次 48.8%

    申請に際しては、事業計画書の提出が必要となります。
    この計画書には、投資によってどのように生産性を向上させるか、そしてその結果どのようなビジネス上のメリットが見込まれるかを明確に記述する必要があります。
    また、補助金は通年で募集されているため、計画的に申請することが推奨されます。
    参考『ものづくり補助金総合サイト

    事業再構築補助金

    新型コロナウイルス感染症の拡大によって、多くの中小企業が需要の低迷や売上減少に直面し、その回復が容易ではない状況が続いています。
    ポストコロナやウィズコロナといった新しい時代に向けて、経済社会の変化に柔軟に対応し、新たなビジネスモデルへの転換を図ることが日本経済の回復には不可欠です。
    このような背景のもと、『事業再構築補助金』は、大胆な事業再構築を志向する中小企業等の挑戦を支援することを目的としています。

    特徴

    事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症による経済的影響が長期化する中、中小企業が直面する未曾有の危機に対応し、持続可能な事業基盤の構築を支援することを目的としています。
    この補助金は、中小企業が新たな分野への展開、事業の転換や業種の変更、業態の転換、あるいは事業再編など、果敢な事業再構築に取り組むことを奨励し、支援するために設けられました。

    補助上限額、補助率

    事業再構築補助金は、次の8つの事業類型が設定されています。

    • 成長枠
    • グリーン成長枠
    • 卒業促進枠
    • 大規模賃金引上げ促進枠
    • 産業構造転換枠
    • サプライチェーン強靭化枠
    • 最低賃金枠
    • 物価高騰対策・回復再生応援枠

    それぞれに補助率と補助金額が定められています。

    事業類型 補助率 補助金額
    成長枠 中小企業者等:1/2
    中堅企業等:1/3
    ■従業員数
    20 人以下:
    100万円~2,000万円
    21~50 人:
    100万円~4,000万円
    51~100 人:
    100万円~5,000万円
    101人以上:
    100万円~7,000万円
    グリーン成長枠 中小企業者等:1/2
    中堅企業等:1/3
    ■従業員数(中小企業者等)
    20人以下:
    100万円~4,000万円
    21~50人:
    100 万円~6,000万円
    51人以上:
    100万円~8,000万円
    卒業促進枠 中小企業者等:1/2
    中堅企業等:1/3
    成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる
    大規模賃金引上げ促進枠 中小企業者等:1/2
    中堅企業等:1/3
    100万円~3,000万円
    産業構造転換枠 中小企業者等:2/3
    中堅企業等:1/2
    ■従業員数
    20人以下:
    100万円~2,000万円
    21~50人:
    100 万円~4,000万円
    51人~100人:
    100万円~5,000万円
    100人以上:
    100万円~7,000万円
    最低賃金枠 中小企業者等:3/4
    中堅企業等:2/3
    ■従業員数
    5人以下:
    100万円~500万円
    6~20人:
    100 万円~1,000万円
    21人以上:
    100万円~1,500万円
    最物価高騰対策
    回復再生応援枠
    中小企業者等2/3
    中堅企業等:1/2
    ■従業員数
    5人以下:
    100万円~1,000万円
    6~20人:
    100 万円~1,500万円
    20人~50人:
    100万円~2,000万円
    51人以上:
    100万円~3,000万円

    補助対象者・経費

    事業再構築補助金の対象となるのは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、現在の事業モデルの見直しや、新たなビジネスチャンスへの挑戦を検討している中小企業や小規模事業者です。
    これには、新しい市場への参入を図る企業、事業内容や提供サービスの根本的な転換を目指す企業など、多様な業種の事業者が含まれます。
    それぞれの枠において、支援を受けるための条件が定められています。
    例えば、「成長枠」の場合であれば、
    ① 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること
    ② 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
    を満たすこととなっています。
    事業再構築補助金によってカバーされる経費は、事業再構築に必要な幅広い範囲に及びます。

    • 建物関連経費:建物の新築や改修、撤去、賃貸物件の原状回復費用、一時移転に伴う費用など
    • 機械装置やシステム構築費:新たな設備の購入やリース、クラウドサービスの利用費、運搬費など
    • 技術導入と知的財産権関連経費:新技術の導入や知的財産権の取得に関わる経費が補助の対象
    • 外注費と専門家経費:製品開発に必要な外注費や専門家に支払う経費
    • 広告宣伝費と販売促進費:広告作成費や展示会出展費など、事業のマーケティング活動に関わる経費
    • 研修費:従業員を対象とした外部講習会やセミナーへの参加費用、オンラインで提供される研修プログラムの受講費、または社内研修を実施するために必要な講師への報酬など

    採択率

    締切回・受付締切日 申請者数 採択者数 採択率
    9回(令和5年3月24日) 9,369 4,259 45.5%
    10回(令和5年6月30日) 10,821 5,205 48.1%
    11回(令和5年10月6日) 9,207 2,437 26.4%
     

    事業再構築補助金の過去の採択率は、約26.4%から48.1%と報告されており、申請する全ての企業が補助金を受け取れるわけではありません。
    この競争の激しさは、多くの中小企業や小規模事業者が新たなビジネス機会を求め、事業再構築を目指している現状を反映しています。
    採択されるためには、ただ申請するだけでは不十分で、明確な計画と事業再構築に対する深い理解と準備が必要です。
    事業再構築の方向性が明確であり、市場のニーズに応えるものであることが求められます。新しい業種や業態への転換、事業モデルの革新など、将来性と実現可能性が評価の重要な基準となります。
    参考『事業再構築補助金

    躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(競争力・ゼロエミッション強化枠)

    『躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(競争力・ゼロエミッション強化枠)』は、中小企業の成長を後押しするために東京都が提供している助成金です。

    特徴(東京都による助成金)

    中小企業が直面する現代の課題に積極的に対応し、持続可能な成長への道を切り開くためのものです。
    具体的には、競争力の強化、DXの推進、社会課題の解決に貢献することを目的としています。
    産業分野でのイノベーション推進や新たな取り組みに必要な機械設備の導入に関わる経費の一部が助成されます。

    補助上限額、補助率

    事業区分 助成率 限度額
    競争力・ゼロエミッション強化/賃上げ促進 中小企業:1/2~3/4以内
    小規模企業:2/3~3/4以内
    100万円~1億円
    DX推進 2/3以内 100万円~1億円
    イノベーション 2/3以内 100万円~1億円
    後継者チャレンジ 2/3以内 100万円~1億円

    補助対象者・経費

    助成は、国内外で市場の拡大が期待される産業分野でのイノベーションを推進する事業に焦点を当てています。
    DXの推進や環境課題の解決に貢献する事業、さらには後継者による新しいビジネスモデルの構築などが含まれます。
    令和4年度からは、中小企業のDX推進を加速させる目的で予算が大幅に追加されました。
    また、環境に優しい取り組みや賃金引上げの推進を後押しするために、「競争力・ゼロエミッション強化/賃上げ促進」区分が設けられ、助成率の優遇が行われています。
    ①競争力・ゼロエミッション強化/賃上げ促進
    事業の競争力を向上させるとともに、省エネや賃上げの取り組みを実施する事業に対して、必要な機械設備の導入を支援します。事業の省エネ効果を高める設備や、競争力向上と連動した賃上げを可能にする設備投資が含まれます。
    ②DX推進
    IoT、AI、ロボットなどのデジタル技術を活用し、新製品・サービスの開発や既存ビジネスモデルの変革を目指す事業に、必要となる機械設備の導入を支援します。
    ③イノベーション
    都市課題の解決に貢献し、国内外での市場拡大が見込まれる産業分野で新事業を展開し、イノベーションを創出するための機械設備導入を支援します。
    ④後継者チャレンジ
    事業承継を機に、後継者が新たな事業展開や経営課題への取り組みに必要な機械設備を導入する事業を支援します。
    支援の範囲には、機械装置や器具備品、ソフトウェアの新規導入にかかる経費が含まれます。
    新たな設備の購入費用だけでなく、搬入や据付に要する経費も対象となります。
    これにより、事業の革新や競争力向上に必要な技術導入を促進し、中小企業の成長を支えることを目指しています。
    本事業では、量産フェーズにおける機械設備の導入が対象となっており、試作や開発のための機械設備は対象外です。この点が、他の支援事業との大きな違いの一つです。
    なお、助成金は100万円から最大で1億円が限度額として定められています。助成率は要件によっても異なりますが、1/2〜3/4となっています。
    参考『第6回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業~機械設備・ソフトウェアを導入して生産性向上・競争力を強化しよう!~

    ものづくり補助金の活用事例

    飯島プレス有限会社様

    飯島プレス有限会社

    企業様サイト:https://www.mito-iijima.co.jp/

    【ものづくり補助金活用の背景】
    飯島プレスは、1958年に東京都墨田区で創業し、1973年に水戸市に工場を移転して板金加工事業を開始。精密部品のプレス加工を得意としてきました。リーマンショック後、量産品の受注減少により多品種小ロットの生産に移行。顧客から材料調達から組立までの社内一貫生産の要望があるものの、現行のタレットパンチプレス(タレパン)とガスレーザーでは、多品種小ロット製品への対応や12mm厚の製品の受注に課題がありました。金型交換時間やタイムロス、加工時間の長さが生産性を低下させており、問題解消と生産性向上、社内一貫加工のニーズへの対応が急務となっていました。

    【ものづくり補助金の活用目的】
    AI機能付きロボットレーザーの導入により、以下の目的の達成を目指しました。
    ・バラシ作業の省略による工程削減と人員の他工程への配置
    ・加工スピードの向上と段取り時間の短縮による生産性アップ
    ・AI機能による加工精度の改善

    【ものづくり補助金活用の結果】
    AI機能付きロボットレーザーの導入により、以下の成果が得られました。
    ・製品と材料板をつなげる工程が不要になり、バラシ作業を省略。常時3~4名必要だった人員を他工程に配置可能に
    ・加工スピードが1.6倍に向上し、段取り時間も平均180秒に短縮。トータルで約2倍のスピードアップを実現
    ・AI機能により連続撃ち抜きの精度が向上
    ものづくり補助金の活用で、生産工程の効率化と加工精度の改善を実現。多品種小ロット生産への対応力が高まり、厚物製品の受注にも応えられるようになりました。余剰人員を他工程に配置できるようになり、社内一貫生産体制の強化にもつながっています。

    まとめ

    本記事では、プレス機の導入を検討している中小企業や小規模事業者が利用できる三つの補助金について紹介しました。
    これらの補助金は、事業の成長と革新を促進し、生産性の向上や環境負荷の低減を図るために重要です。
    補助金の活用は、単に経済的な支援を受けることだけではなく、事業運営の効率化、新しい市場への挑戦、そして環境への配慮など、企業が社会的な責任を果たすうえでも重要な役割を果たすからです。
    適切な補助金を選定し、申請準備を行ったうえで、事業のさらなる発展に向けた一歩を踏み出すために、有効に活用してみてください。

    また、本記事で紹介させていただいた、ものづくり補助金についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も参考なります。

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