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製造業のエクセルを使った原価管理の方法は?ポイントや効率化の方法を徹底解説

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企業の利益率向上のためには「適切な原価管理」は非常に重要な業務です。
しかし、現状の原価管理方法が果たして適切なのか、さらに効率化・精度向上できる方法はないのかと考える人も多いのではないでしょうか。
原価計算にはいくつかの方法がありますが、現状エクセルで行っている企業が多いでしょう。しかしエクセルはなじみ深いツールである一方で、属人化しやすいなどのデメリットがあるのも事実です。
本記事では、原価管理について、その内容と原価管理をエクセルで行うメリット・注意点、効率化の方法などについて徹底解説します。

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    原価管理とは?製造業における重要性

    製造業における原価管理とは、商品の製造・出荷にかかる原価を正確に把握し管理する業務です。
    製造業における原価管理がどのような役割を持つのか、ご紹介します。

    製造業における原価管理の役割

    生産管理業務で必要とされる「QCDの最適化」の中でも、原価管理は「コスト最適化」の分野にあたります。
    コストマネジメントとして、原価予測をし企業の利益最大化への貢献、損失リスクを回避することが原価管理の役割と言えるでしょう。
    原価は、製品の原材料以外にも設備費、ツール利用料、人件費など製品を作るためにかかったコストすべてを含んでいます。
    原価管理は原価を計算するだけではありません。
    原価を適切に管理・調整することで、予算と実績の乖離が生じる原因を調査できるため、製品の製造過程や原材料を見直すことができます。
    原価管理では、原価の中の1つの要素が外的要因で高騰した場合(例えば原油価格高騰と比例して原材料費が高騰した場合)には、他要素(例えば人件費など)を縮小して原価全体を調整する、などの対策が行えます。

    2. エクセルを使った原価計算のやり方

    原価管理はエクセルを使って行う場合が多いでしょう。
    エクセルを使った原価の計算方法を改めてご紹介します。

    2.1 関数やマクロを組んだエクセルを作成する

    自社で関数を設定したりマクロを組んだ計算表を作るのが、最も自社に合った内容にカスタマイズして原価管理できる方法です。
    しかしエクセルに関して高度なスキルを持つ人が社内にいなければ、この方法を継続するのは難しいでしょう。高度なエクセルスキルを持つ社員がいたとしても、一から作成するのは大きな負担となります。また、関数やマクロが壊れた際の修正が、そのエクセルを作った本人しかできません。その点において、オリジナル計算表の利用は属人化しやすいというデメリットもあるということには注意しましょう。
    板金加工を例にして、SUM関数とVLOOKUP関数を使った具体例をご紹介します。以下の例は、板金加工における材料費や作業費の管理を想定しています。

    1. 材料費の合計を求める(SUM関数の例)

    まず、Excelに以下のような材料費リストを用意します。

    ここで、各材料の合計金額を =B2*C2 などの数式で計算し、全材料の合計金額を求めるために SUM関数 を使います。例えば、D2:D4 の合計を求めるなら、次のようにします。
    =SUM(D2:D4)
    この式で、材料費の合計を簡単に算出できます。

    2. 加工費をVLOOKUPで参照(VLOOKUP関数の例)

    先ほど作った材料費リストと照らし合わせて、各品目に対応する加工費を引き出す関数をご紹介します。
    以下のように加工費リストを別シートに用意してください。

    例えば、材料費リストのE2セルでステンレス板の加工費を参照するには、次のようにVLOOKUP関数を使います。
    =VLOOKUP(A2, ‘加工費リスト’!A2:B4, 2, FALSE)
    これにより、ステンレス板の加工費が表示され、同様にアルミ板や銅板の加工費も簡単に取得できます。
    ※VLOOKUP関数のコツ:=VLOOKUP(探すもの, 探す場所, 探したい列の番号, 完全一致)
    探すもの:知りたい名前や番号。たとえば、「りんご」。
    探す場所:表の範囲。どの表から情報を探すのか教えます。
    探したい列の番号:何番目の列に知りたい情報があるかを教えます。たとえば、値段が書いてあるのが2列目なら「2」と入力します。
    完全一致:正確に探したいときは「FALSE」と入力します。

    3. 合計原価を求める

    最後に、合計原価として材料費と加工費を合計します。

    2.2 関数の入ったエクセルテンプレートを使う

    計算表をエクセルで一から作るのは非常に負担がかかるため、様々な企業が無料で提供しているテンプレートを使うのがおすすめです。
    テンプレートというとカスタマイズしにくいというイメージがあるかもしれません。
    しかし、世の中には豊富な種類のテンプレートがあるため、それらを活用すれば簡単に誰でも一般的な原価計算ができるでしょう。
    例えば以下のように、Microsoftで原価管理エクセルのテンプレートが無料で提供されています。
    プランナーとトラッカーのテンプレート|Microsoft

    原価管理をエクセルで行うメリット

    原価管理ツールなど便利なツールが開発されているのにもかかわらず、多くの企業で原価管理がいまだにエクセルで行われているのにはいくつかの理由があります。
    原価管理をエクセルで行うメリットをご紹介します。

    ・新たにシステムを導入する必要がないから
    エクセルは、企業が社員に貸与するパソコンに標準でインストールされている場合が多いでしょう。そのため、新たにツールやソフトをダウンロードする必要がありません。
    エクセルの日本版は1986年に発売され、年齢層の高い従業員でも容易に使いこなせるツールと言えます。

    ・使い慣れた、昔からなじみ深いツールだから
    エクセルは使い方がシンプルで、関数やマクロを入れれば複雑な計算も可能となります。
    世の中に多くのソフトがある中で、従業員が使い慣れているという点で、扱いやすいというメリットがあります。
    よく知らないツールを新たに導入するよりも、多くの従業員が使い慣れているエクセルで原価計算を行った方が、導入ハードルが低くなるのです。

    原価管理をエクセルで行う際の注意点

    多くの企業が原価管理で使っているエクセルですが、いくつか利用する際の注意点があります。エクセルでの管理が煩雑になってきている方は、エクセル以外のツールで効率化することも検討したほうがいいかもしれません。

    ・データの正確性
    エクセル内の関数が複雑化すると、算出されたデータ自体の正確性にも影響を及ぼします。
    また、多くの人が関数を触ることで、関数やマクロが壊れる可能性もあります。どの時点で壊れたかを把握することが困難になるのです。
    また、更新者が誤って古いファイルを格納してしまいデータが間違ってしまうというリスクもあります。

    ・属人化が起こりやすい
    エクセルというツールに対するなじみは深いものの、原価計算のための関数やマクロを組むためには専門的なスキルが必要となります。
    そのため、計算式が変わったりエクセルが壊れた際に、それを修正・解決できる人物のスキルに依存してしまうのです。
    その専門スキルをもつ人材に依存してしまう(属人化してしまう)ことで、その人が異動や退職した際に、柔軟に原価計算表の管理ができなくなることがあります。

    ・リアルタイムデータを共有・連携しにくい
    更新したエクセルを担当者のローカルフォルダに保存してしまうと、最新版の部門間共有に時間がかかり、連携がうまくできなくなります。
    社内ファイルサーバーなどへのアップロードを徹底したり、別途メールで送信したりしなければ、他者が最新版を閲覧できない点は不便だと言えます。

    ・ファイルを一元管理できない(ファイル管理が手間)
    エクセルではリアルタイムデータを共有しにくいからこそ、各作業者のローカルディスクに原価計算エクセルが保存されていきます。
    複数の更新中エクセルが散在してしまうと、どれが最新かわからなくなったり、最新版を把握するためにファイルの中身を確認するという作業が発生してしまいます。

    原価計算をより効率化する方法

    エクセルよりもより効率的に原価計算ができる方法がいくつかあるためご紹介します。

    ・原価管理システムを導入する
    原価管理システムとは、原価計算や予算と実績の比較・分析、原価シミュレーション、損益の分析などの複雑な計算を効率的に行えるシステムです。
    必要なデータを集め、エクセルで集計・計算し、最新ファイルを部門間で共有するという手間のかかる作業を、システムで自動化することで工数削減につながります。
    さらに、エクセル管理では原価管理が属人化してしまいがちです。しかし原価管理システムを使えば、計算スキルのない従業員でも誰でも簡単に扱うことができます。
    システムの導入は生産性向上や効率アップに貢献できるでしょう。

    ・ERPを導入する
    すでにERPを導入していたり、導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
    ERPは生産管理内の業務だけでなく、企業内の情報を一元管理できるツールです。
    多くの機能を持つERPには、原価管理機能が備わっている場合が多いため、それを活用するのもおすすめです。
    原価管理以外にも、生産管理にかかわるその他業務を全体的に効率化したい場合は、ERPを導入した上で、ERP内の原価管理機能を用いて効率化を進めるとよいでしょう。
    ERPについて詳しく知りたい方は、こちらのページで詳しく説明しております。
    ぜひ合わせてご覧ください。

    5.1 原価管理システムの導入

    原価管理システムを導入すれば、原価管理はより効率化できるでしょう。
    原価管理システムを導入するシーン例と、原価管理システムでできることをご紹介します。
    ・こんな時に使う
    エクセルでの原価計算が複雑で工数がとられている場合
    予想原価と実績の差異が大きく、予想の精度を上げたい場合
    部門別・製品別の損益の把握など細かく分析したい場合
    ・原価管理システムでできること
    原価計算、原価再分析、損益計算、配賦計算、原価シミュレーション、システム連携、セキュリティ対策

    まとめ

    今回は原価管理をエクセルで管理する方法、エクセルで管理するメリットと注意点などをご紹介しました。
    原価管理は、企業のコスト最適化のためにも非常に重要な業務です。
    原価管理には人件費の管理も含むため、人件費や工数のかかる作業の効率化はぜひとも進めたいところです。
    工数がかかりやすく作業が煩雑化しやすい作業としては「図面管理」も挙げられます。
    「図面管理」はいまだに紙で管理していたり、データ化していてもあちこちに散在しやすっく、管理を効率化していきたいフェーズです。
    営業製作所では、図面をデータで一元管理できる「図面Engine」を提供しています。
    図面Engineは、高いセキュリティの中で図面の取り込みや入力・データ化もすべて自動でできます。
    生産管理現場の業務効率化の初手として図面管理の効率化を進めたい方は、ぜひ図面Engineの導入をご検討ください。

    ▼図面管理システム導入のご相談・ご検討の際はぜひ営業製作所までお問い合わせください!

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